地域情報はどうやって解析しているのか(2) ドメイン取得情報を利用する
続いて今度はドメイン取得情報を利用する方法です。これは、やはり同じくリモートホスト名を利用数方法ですが、TLDだけでなく、「baidu.jp」や「nifty.com」、「u-tokyo.ac.jp」といった、ある組織が取得しているドメインを元に、そのドメインの取得情報を調べ、そこからアクセス元を特定する方法です。
たとえば「u-tokyo.ac.jp」は東京大学のドメイン名です。従って、リモートホスト名の最後が「u-tokyo.ac.jp」になっていたら、東京大学の内部のネットワークからのアクセスであることがわかります。
同様に、「.go.jp」なら文部科学省からのアクセスです。リモートホスト名からは、そのIPアドレスの属する組織がわかるようになっているのです。そして、そこから地理的情報を取得する方法も存在しています。
ドメイン名を利用するには、その管理団体に申請して、ドメインを利用する権利を1年、2年といった単位で「借りる」必要があります。その際にドメインの管理者や問い合わせ窓口をしなければなりません。そしてその情報は、一般に公開されるようになっています。その情報を利用すれば、その組織の住所(代表住所ではありますが)を知ることができるのです。
そうした情報を調べる仕組みを「whois」と呼びます。「Who is(誰?)」という名前の通り、ドメイン情報を元に、その管理組織を調べることができるサービスです。
たとえばJPドメインを管理しているJPRSのサイトに行くと、JPドメインの管理組織情報を簡単に調べることができます。
たとえば、「baidu.jp」を入力して検索すると、以下のような情報が表示されます。
Contact Information: [公開連絡窓口]
[名前] 百度株式会社
[Name] Baidu, Inc.
[Email] admin@baidu.jp
[Web Page]
[郵便番号] 106-0032
[住所] 東京都港区六本木6-10-1
六本木ヒルズ森タワー
[Postal Address] 6-10-1,Roppongi,Minato-Ku,Tokyo
Roppongi Hills Mori Tower
[電話番号] 03-6811-2080
[FAX番号] 03-6440-0136
ここには住所が表示されているため、組織の物理的な場所を調べることができるのです。この情報を利用して、地理情報を算出しているサービスとして「なかのひと.jp」があります。このサービスでは、アクセスしてきたIPをリモートホスト名に変換した後、ドメイン登録情報を調べて住所を取得し、今度は住所を緯度、経度に変換するサービスを利用して緯度経度情報に変換し、地図上に表示しています。

「中の人」というネーミングは、実はその仕組みを的確に表していて、どこからアクセスがあったのかではなく、どこの組織の中の人がアクセスしてきたのかを調べているのです。
ただしもちろん、全国に支部がある大会社などの組織などでは、ドメイン登録情報に表示されるのは代表の住所であったり、ドメインの管理を行っている部署の住所であったりするでしょうから、そこからアクセス元を完全に知ることはできません。また、ISP(プロバイダ)の場合も、日本全国で利用できるISPの場合は、実際には北海道からのアクセスであったにもかかわらず、東京にあるそのISPの本社からのアクセス、ということになってしまったりします。
また、ドメイン名の登録情報は、実際の利用者の組織名や住所ではなく、ドメイン取得代行業者(レジストラ)の住所が入っている場合があります。たとえば筆者はよくVALUE DOMAINというレジストラを利用していますが、ドメインを取得した際に、自分の名前や住所ではなく、大阪にあるVALUE DOMAINを運営する会社の名前や住所を使うことができるオプションが用意されています。
このあたりは、ドメイン登録情報を利用した解析の限界ではあるので、理解して使う必要はあります。