広告にも応用される地域情報
ここまでIPアドレスからアクセス元の地域を調べるカラクリについて解説してきました。しかし、すでにおわかりのように、どの方法も、完璧に場所を特定できる、というものではありません。しかし、これまでこの連載では何度も述べていますが、アクセス解析は、個々のアクセスを完璧に把握する、というよりは統計的にデータを集計することが重要であり、大体わかる、というレベルでも十分に役に立つわけです。重要なのは、解析されたデータが、どういった方法を利用して集計されていて、どれくらいの精度を持っており、どういった問題があるのか、ということをきちんと知った上で、データに臨むことです。
さて、最後になりますが、こうしたIPアドレスからの地域情報の割り出しは、広告の表示などにも応用されているので、それを少し紹介しておきましょう。
どこからアクセスしているかがわかる、ということは、アクセス元によって表示させる広告を変える、といったことができ、実際にそういった広告が存在しているのです。
たとえばGoogleのAdSenseがわかりやすいでしょう。筆者は、仕事柄(現在百度という中国の検索エンジンに勤務しています)よく中国へ出張するのですが、中国からたとえば自分の日記(AdSenseの広告が貼られています)にアクセスすると、中国への転職や、中国で利用するサービスに関する広告が表示されるようになります。同じように、アメリカに行ったときは、アメリカの日本人向けサービスの広告が表示されたのを覚えています。
Googleがアクセス元のIPアドレスを調べて、その人のいる地域にあった広告を出しているのです。

同じように、Googleのトップページに中国からアクセスすると、「Google Chinaへ移動」というメッセージが出ます。これも、Google側で、IPアドレスからこれは中国側からのアクセスだな、ということを認識して、メッセージを表示しているわけです。
このように、IPアドレスからのアクセス元の割り出しは、アクセス解析だけでなく、さまざまなことに活用されているのです。