※本記事は、2020年6月25日刊行の定期誌『MarkeZine』54号に掲載したものです。
外出自粛で上昇したNetflixユーザー数の見方
外出自粛によって、テレビやオンライン動画の視聴時間が長くなったのは実感するところだが、「オンライン動画ビジネス」への、長期的な経済インパクトは上向きなのだろうか。COVID-19発生を起点に紀元前/紀元後と分けて、米国でも新たなモデルが探られている。
図表1は、2020年4月21日に発表されたNetflixの「有料サブスクの契約者数」を整理したものだ。
確かに世界合計では今期四半期において過去最高の1,576万人増(昨年同期四半期が960万人増)、北米においては230万人増(前期同187万人増)、そして世界での累計では1億8,300万人に到達した。日本でもその急伸を感じているだろうか。
単に(お試しを含む)有料サブスクライバー数が急増したからといって、「オンラインのコンテンツビジネスはさらに上昇する」「Netflixは勝ち組だ」といった期待は短絡的だ。今後のオンライン動画市場のシグナルとしてNetflix等のサブスク・サービスを定点的に推察することは、紀元前の計算式とも言える。「プッシュ流通量でカウントする指標」に頼らない意思が、「ニューノーマル(新常態)」につながる。