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「データ保護」と「プライバシー」の観点からデータ戦略基盤を再考する

CMP(同意管理プラットフォーム)を導入する前に知っておくべき10のこと

CMPを導入する前に知っておくべきこと(デザイン/費用/サポート編)

6. フォーマットデザイン

 CMPデザインとして、大きく4つのフォーマットがあります。最も企業に採用されているのは「フッター型」です。PC閲覧の際、一般的に訪問者の目線は左上から右下に向けて目線が動くとされており、Webサイトを閲覧してから同意ポップアップを確認する自然な誘導を行うことができます。一方で「強制視認型」は、データの取り扱いに丁寧な業種×訪問者のWebサイトへの訪問意向が高いサービスを提供している場合に採用されることが多いです。たとえば、航空会社、ホテル、政府、クレジットカード会社などです。

 最後にご紹介する「控え目型」はDataSignが開発した国内産CMPです。「3. 地域別の表示内容の出し分けと言語設定」でご紹介した同意設定の通り、日本では個人情報の取り扱いの際、原則として同意を求められていないことから、標準で「ON(同意する)」とすることができます。デザイン面においても、あえて控え目な表現としており、CMP導入の際に課題となりがちな同意率の低下を回避できるのではと期待されています。

参照:DataSignのWebサイト

7. デザインの汎用性

 同意ポップアップとWebサイト全体のデザインが大きく異なってしまうと、訪問者に違和感を与えてしまい、同意率の低下と不信感につながります。文字のフォント、大きさ、背景色、前景色、アイコンデザインが、自社サイトのデザインに酷似することができるのかについて確認が必要です。

参照:adidas (UK) Limited
※タップで拡大します

8. 料金体系と支払いタイミング

 CMPの料金体系は「ドメイン数」、「ユーザーアカウント数」、「PV数」によって変動する従量課金制が多い傾向にあります。その為、Webサイトの規模に応じた適切なプランを選択する必要があります。ベンダーによっては「月額払い」もしくは「年間払い」に加え「初期費用」や「サポート費用」などを設定している場合があるので事前の確認が必要です。

9. 導入時の技術的サポートの有無

 導入の際は、自社もしくは制作会社や専門会社などの外注先で技術的な設定を行う必要があります。同意ポップアップを表示させるためのソースコードの埋め込み作業やCMPダッシュボードの管理画面の表示設定、ログインユーザーのアクセス管理なども対応する必要があります。

10. 導入後の分析から改善提案の有無

 前提として、CMPを導入することで一般的にはCookie保有率が減少します。CMPを導入して終わりではなく、導入後の同意率や離脱率を分析し、同意率を向上させるための改善提案が重要です。また、いくらCMPを導入し同意を取っていたとしても、そもそもの同意内容やプライバシーポリシー、利用規約が不適切であれば、訪問者の同意も意味のないものとなります。

まずは『データの棚卸し』から始めよう

 元広告会社の運用担当者の目線から、「データ保護」、「プライバシー」、「同意管理プラットフォーム(CMP)」のテーマで連載させていただきました。データ保護とプライバシーの業務に携わるようになってから、インターネット、デジタル、データ領域に対する生活者の意識が急速に変化していると実感しています。それに付随するように、世界各国では生活者のニーズに対応させるべく、新しい法律を制定したり改正したりしています。これまでなんとなく許されていたことが明確に許されなくなり、違反者に対して罰(制裁金)が科せられる事例が増えています。「そういうけど、なかなか自分ごと化できないんです。何からはじめたらいいですか?」というお話を頂くことがあります。

 個人的には、まずは自社の保持している『データの棚卸し』から始めることが良いかと思います。データの棚卸しを行うことで、今まで気づいていなかった新しいデータ活用のキッカケになるかもしれません。逆に、リスクに気づくキッカケになる可能性もあるでしょう。

 データの棚卸しができたら、次は『生活者と企業で交わす約束の見直し』を行うことが良いと思います。つまり、プライバシーポリシーや利用規約の見直しです。前回の記事で、プライバシーポリシーにはデータを広告活用しませんと明言しているにもかかわらず、Webサイトには広告タグが埋まっていて矛盾している、といった企業の例をあげましたが、これは決して珍しい例ではありません。

 生活者の意識は急速に変化している中で、いくら良いサービスや商品であったとしても、約束事が不明確な企業で買い物するのは怖いから避けよう……という風潮になってきたのではと感じます。今回ご紹介したCMPにおいても、プライバシーポリシーと利用規約が適切であるということを前提としています。いくら時間と費用をかけてCMPを導入したとしても、プラポリと利用規約が正しくなければ、CMPによる同意は意味のないものになってしまいます。

 最後は、『わかりやすさの追求』です。これまではWebサイトの隅にこっそりと載っていたプライバシーポリシーと利用規約でしたが、これからは重要な一つのコンテンツとして、より目立つ位置にわかりやすいかたちで載せられるべきでしょう。そのためには、小さい文字で専門用語が多いプライバシーポリシーを卒業し、文字は大きく、色や段落を使い分け、専門用語はイラストで補足するなどの工夫が必要になります。これからは法務チームとクリエーティブチームのコラボレーションが求められるでしょう。

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この記事の著者

大驛 貴士(オオエキ タカシ)

2012年、株式会社サイバー・コミュニケーションズに入社。Facebook、Twitterをはじめとしたソーシャルメディアの広告運用、APIを活用したツール設計、開発ディレクション、データ収集から分析までを得意とする。2019年6月よりデータの利活用を推進するコンサルティング会社「株式会社DataCurrent」に...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/07/20 09:00 https://markezine.jp/article/detail/33742

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