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ポストCookieの世界~アドテク最新事情をキャッチアップ

Cookie代替策:Google推奨のTurtledove、Criteo推奨のSparrowを紐解く

Turtledoveの仕組みを3段階で解説

 Turtledoveは次の仕組みで広告を配信するとみられます。

(1)ブラウザが、サイト閲覧ユーザーがどんな商品に興味を持っているのかという情報を保有する
(2)広告主は、興味に基づいて広告を配信することはできるものの、その興味を特定のユーザーに関する他の情報(そのユーザーが誰であるか、またはどんなページを訪問しているかなど)と組み合わせることはできない
(3)ユーザーが訪問するWebサイトやアドネットワークは、ユーザーの広告への興味・関心を知ることはできない

 つまり、2つのリクエスト(“Two Uncorrelated Requests”)が送信されることで設定されており、それぞれのリクエストは以下を指しています。

1. コンテキスト広告のリクエスト

 パブリッシャーのアドネットワークへのWebページの通常の広告リクエストが構築され、通常通り送信されます。これには、広告が表示されるコンテキストに関する情報(ページURL、広告サイズや広告枠など)やファーストパーティのターゲティング情報を含めることができます。ブラウザのインタレストグループには影響されません。

2. インタレストグループのリクエスト

 新しいタイプの追加広告リクエストがブラウザによって作成され、同じパブリッシャーの広告ネットワークに送信されます。ユーザーの閲覧行動と紐づけることはできず、広告が表示されているWebページをロードしている間以外の時間に発生する可能性がある、広告主が特定したインタレストを示す別のリクエストです。

 ここからは実際のユーザー行動を例に、Turtledoveの仕組みを説明していきます。

実際のユーザー行動を例に解説すると?

 実際のユーザー行動を例に、説明していきます。AさんがShoes.comという靴の通販サイトを訪問したとしましょう。すると、次のようなことが起きます。

(1)その際Aさんは「靴が好きなグループ-未購入者」というグループに分類されます。
(2)その後いろいろなカテゴリページを閲覧することで「靴が好きなグループ-運動-靴」または「靴が好きなグループ-ドレス-靴」などのグループに分類されていきます。
(3)特定の靴を閲覧すると、「靴が好きなグループ-商品番号-00123-閲覧者」のグループに分類されます。
(4)最後に、靴を購入したり、Webサイトから離れたりすると「靴が好きなグループ-購入者」グループ、もしくは「靴が好きなグループ-カート-未決済」グループのいずれかに分類されます。

 広告を配信する際はAさんが訪問していたニュースサイトを特定することはできず、「靴が好きなグループ-未購入者」や「靴が好きなグループ-運動-靴」などのインタレストグループに向けて配信をすることになります。ただし配信をする際にはコンテキスト情報とのマッチングはできず、IPアドレスなどでも個人を特定することはできません。広告主側の懸念としては、移行初期においてはCPAやROIなどの一部設定していたKPIが達成できなくなる可能性があります。特に詳細なターゲティングを設定している場合は要注意となるでしょう。

 また、これら2つの広告リクエストのプライバシー情報の独立性を担保することは、ブラウザの責任になります。つまり、これら2つのリクエストが同じユーザーのものであることをどの広告ネットワーク/配信事業者にも知られてはいけないということです。

考察

 すでに事業者間においてGoogleとの入札における検証が行われています。今後は、精度の高さや広告主/代理店側が行わないといけない作業工数などについて注視していく必要がありそうです。

 また、既に述べたようにTurtledoveではコンテキストに沿って配信をすることになりますので、より細かい粒度でユーザー情報を取得できるように、タグ実装は最大限実装できていたほうが望ましいです。具体的には、以下の点をチェックすると良いでしょう。

チェックポイント

・現在のタグ/フィード実装は十分にユーザー情報を取得できているか。
・個人を特定しようとしていたIPアドレスやメールアドレスの取得方法の継続有無。
・インタレストグループを追加設定する際の注意事項/設定方法。
・CTR、CVRがどのくらい落ちるのか。

次のページ
Criteoらが推奨するSparrowとは

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この記事の著者

高橋 君成(タカハシ キミナリ)

Cosmose Inc, Head of Sales&Partnership, Japan 1988年生まれ。外国語大学卒業後、リクルート、Criteoなどを経て、RTB Houseの日本法人立ち上げを経験。2021年4月よりCosmose Incの日本ビジネスにおける責任者を務める。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/09/02 09:00 https://markezine.jp/article/detail/34040

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