デジタルホールディングスが描く戦略とは
MZ:デジタルホールディングスに社名を変更して以降は、どのような戦略のもと事業を展開していくのでしょうか。
野内:大きな戦略として考えているのは、様々な企業様のデジタルを基盤としたビジネスの立ち上げ、成長を支援するということです。昨今騒がれているデジタルシフトという言葉に多くの企業様が期待しているのは、単なるデジタルツールの導入による効率化などではなく、ビジネスモデル自体をデジタル化した、全く新しいデジタルビジネス事業を立ち上げることです。

野内:しかしながら、デジタルビジネスの立ち上げをサポートできる会社は、まだまだ世の中にあまり存在していません。それが非常に複雑で難しいことだからです。カスタマイズ性もあり、お客様のコンディションや資金面を鑑みて参入するのは難易度が高いと思います。
ただ、その難しいことを難なく自力でやってのけるのがスタートアップ企業です。このギャップに我々は着目し、どのような企業でもデジタル新規事業を作れる体制作りをバックアップしたいと思っています。
どんな企業でもデジタル事業を起こすためのカギがSaaS
MZ:スタートアップ企業とデジタル事業の立ち上げがうまくいかない企業の間に、どのようなギャップがあるのでしょうか。
野内:一番大きいのはデジタルリテラシーの差ですね。企業様によってはデジタル事業を立ち上げる際、デジタル活用に精通したコンサルティング企業や実際のシステムを開発できるSIerに相談をすると思います。
しかし、依頼する企業様側がデジタルを活用したビジネスを十分に描き切れていないと、パートナー企業との間で情報の非対称性が生まれてしまうのです。結果、高すぎる目標設定や、莫大な費用のかかるシステム開発が発生し、企業様側が最初の一歩を踏み出すためのハードルが高くなってしまいます。
そのため、我々はこの情報格差を埋めて透明性の高い取引をしたいと考えています。デジタルシフトという言葉に身構えて、最初から何千万もの費用をかける必要はないと思っています。我々はどんな企業様でも手軽にデジタル事業をスタートできるような市場を作っていきたいのです。
そのため、我々も現在SaaSの開発を進めています。最初にフォーカスしているのは、様々な業界のバリューチェーンにおける課題を解決する、営業やマーケティング向けのソリューションです。デジタルを活用したバリューチェーンの構造改革は、一企業のみならず、業界全体のデジタルシフトを推進する起爆剤になり得ます。社会へ与えるインパクトを考えても、この領域でのSaaS開発が責務だと思っています。
ヒト、モノ、カネ、情報でデジタルシフトを支援する
MZ:SaaSの提供という話もありましたが、その他にはどのようなデジタルシフト支援を行っていく予定なのでしょうか。
大きくはヒト、モノ、カネ、情報の切り口で支援をしていこうと考えています。「ヒト」に関しては、デジタルシフトをリードする人材育成支援や、デジタルの知見を持った人材を企業様に派遣することを通じて、様々な企業がデジタルシフトに取り組める状態を目指しています。
「モノ」に関しては、先ほどお伝えしたSaaSの開発・提供によって、企業様がいち早くデジタルシフトに着手できる環境を用意したいと考えています。
そして、「カネ」のところですが、機関投資家と大手企業の新規事業担当者をつなぐ役割を担おうとしています。新規事業は評価が難しく、単に利益などでは銀行からの融資も難しい状況です。しかし、本当に勝負したいときに、事業成長を長期で支える投資家のサポートが必要になるでしょう。それに対し、現在検討を進めている最中です。
最後の「情報」に関しては、デジタルシフトに取り組む企業や、海外での事例などの最新情報をまとめてお客様にレポートとして提供しています。情報の側面から、企業様のデジタルシフトを支援していきます。
これらをまんべんなく提供しつつ、その中でも特にSaaSの提供を中心とした「モノづくり」を通した企業様のデジタルシフト支援に注力したいと考えています。