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MarkeZine Day 2025 Retail

MarkeZine Day 2020 Autumn

「必要なのは3つの“しんか”」パルコ唐笠氏が提案する店舗ビジネスのWithコロナ対応

“集合体としての顧客”にアプローチするだけの時代は終わった

 ショッピングセンターやリテールを取り巻く現状は厳しい。唐笠氏は業界が直面している問題を次のように解説する。

・ファッションを中心とする物販全般が低トレンドになっている
・店舗に足を運ぶ/店舗で購入する価値が低下している
・ネット×スマホで顧客の買い物に対する技術が著しく向上
・フリーマーケットアプリを筆頭に「C to C」の経路も充実している

 このような状況で求められているのは、個々の顧客に対して商品・サービスごとに提案できる販売力、そして顧客の状況に合わせたコミュニケーションだ。

 つまり、“集合体としての顧客”に対して、属性に合わせたフロアゾーニングやテナントミックスを行い、魅力的な店舗を作っていく発想から、店舗ビジネスであっても、顧客それぞれの嗜好や行動に合わせて、最適な商品の提案、セレンディピティの提供、最適なタイミングでのアプローチを実現していく発想にシフトする必要がある。

アプリを起点にオンオフを跨いだ理解を進める

 パルコでは、この転換を実現するために「PARCO ONLINE STORE」や「POCKET PARCO」から収集した消費者の行動・購買データを役立てている。POCKET PARCOはパルコの公式スマートフォンアプリだ。パルコ館内に出店しているテナントの最新情報やブログ記事を提供するだけでなく、来店した際のチェックインやクーポンの発行、店内回遊の歩数やお買い上げ金額に応じたインセンティブを付与するといった機能を有している。

 唐笠氏は「アプリデータの分析で、Webコンテンツの利用と店頭買い上げの相関関係が明らかになった」と説明する。たとえば、ブログ閲覧で「いいね」を積極的につけるユーザーは、来店回数や購入金額が多いことがわかっているという。

 オンラインがオフラインを包含する「OMO(Online Merges with Offline)時代」に対応するべく、オンラインとオフラインのデータをマージし、サイトと実店舗がシームレスに連携することで、購買意欲を喚起し、さらに適切なタイミングで商品を提案しようというわけだ。

 オフラインのデータ取得には、アプリ以外にも店舗内に設置した顔認証カメラや接客ロボットとのコミュニケーション履歴などが活用できる。こうしたデータとアプリから収集したデータをマージすることで、消費者の嗜好性が詳らかになり、個々の消費者にパーソナライズされたサービスや商品の提供が可能になるのだ。

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OMOで実現するWithコロナ対応、3つのサイクル

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この記事の著者

鈴木 恭子(スズキ キョウコ)

 東京都出身。週刊誌記者などを経て、2001年IDGジャパンに入社。「Windows Server World」「Computerworld」などの記者・編集を経て2013年にITジャーナリストとして独立。主な専門分野は組込系セキュリティ。現在はIT(Information Technology)とOT(Opera...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/10/15 09:00 https://markezine.jp/article/detail/34249

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