※本記事は、2020年9月25日刊行の定期誌『MarkeZine』57号に掲載したものです。
クライアント課題に寄り添い、実現できる存在に
株式会社米(こめ) Founder/Producer/CraftDirector 山中雄介氏
数社にてグラフィックデザイナー、ディレクター、プランナーとして従事。2012年にデジタルクリエイティブを強みにしたAID-DCCに入社。デジタルを軸足にフィルム、プロモーションなどを含めたコミュニケーション領域にて統合的なプロデュース/クリエイティブディレクションを担当。2019年6月に米を設立。カンヌライオンズ2015,2016年ゴールド受賞を含む5年連続受賞・入賞中、Adfest2017,2018年GRANDE、SPIKESASIA金賞、ACC5年連続受賞、文化庁メディア芸術祭受賞、D&AD受賞など国内外の受賞歴多数。
――米は「エグゼキューション・カンパニー」を標榜していますが、どのような思いからこちらを掲げているのでしょうか。
一番大きな理由は、制作して終わりではなく、クライアントのビジネスにコミットしたいと考えたためです。私はこれまでのキャリアで、グラフィックデザイナーからプランナー、クリエイティブディレクター、プロデューサーまで様々な職種を経験してきました。
私たちのように幅広く経験してきたプロデューサーが独立する場合、「クリエイティブスタジオ」「クリエイティブブティック」などと名乗るケースもあると思うのですが、それでは抽象度が高いなと。そうではなく、実行・実現する会社というスタンスを伝えたいと考えました。もちろん課題に応じて企画にも携わりますしディレクションも行います。その中で、私たちは課題解決を実現するための方法を考えるエグゼキューション・カンパニーと標榜することに決めました。
――クライアントの課題解決にもっと寄り添ったクリエイティブを提案していきたい思いがあったのですね。
我々のような広告に関わるプロデューサーは、もっと領域を広げてクライアントの商品・サービスの価値を上げるお手伝いができると考えています。これまで、広告プロデューサー=テレビCMのプロデューサーのイメージが強かった。テレビCMが広告の歴史を支えてきたとはいえ、映像から入って与えられた予算の中で良いものを作るだけで課題を解決できる時代は終わったと思います。もちろんケースによりますが。
そのため、プロデューサーはもっとクライアントの課題から寄り添えるべき存在になるべきです。米では、一緒に課題を見つける、もしくはクライアントから託された課題を再定義することからスタートする場合もあります。そして、商品・サービス開発などモノづくりの部分にも関与し、その上で世の中にどのようなことをクリエイティブで問うべきかを一緒に考えています。