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検索ニーズの変化に対応し“偶然の出会い”を創出 「一休.com」サイトリニューアルの狙い

ユーザーの“直感的”な検索ニーズに対応できるサイトへ

――検索ニーズの変化ですか?

花房:はい、これは代表の榊もよく話していることですが、ユーザーの検索方法は以前よりも“直感的”になってきているんです。たとえば、従来はそれこそ検索ボックスを使って、希望のエリア・人数・日程から宿を探すといった方法が一般的でしたよね。でも近年、そういった検索スタイルではなく、「東京から2時間くらいで行けて、ごはんが美味しい宿に泊まりたい」というような、もっとざっくりとした検索方法を求めているユーザーが増えてきているのです。私たちも、普段Googleを使ってそういった検索をしたりしていますよね。こうした検索ニーズの変化に対応していきたいという思いから、テーマ別のレコメンドを新たに追加しました。

佐藤:また従来の検索方法ですと、たとえば九州を指定したら当然ながら九州の宿しか出てこないため、「偶然の出会い」みたいなものがなかなか作れないと感じていました。そこで、たとえば「海外旅行気分を味わえる宿」と言った形で沖縄の宿も北海道ニセコの宿も載っていて……と、新しい出会いができるサイトにしたいとも思っていました。もちろんレコメンドの裏にはデータ分析に基づいた緻密なロジックがありますので、偶然の出会いでありながら、しっかりその方の嗜好に合ったものを見せていけるようになっています。

――テーマの数は、現在どのくらいあるのでしょうか?

佐藤:全部で80種類程度ですね。一休には旅好き社員が多いので、「こういったテーマが欲しい」と社内で出た意見から、新たにテーマを追加していくことも多いです。また季節やタイミングによってユーザーが求めているテーマも変わってくると思うので、都度調整していきたいと思っています。

花房:テーマ自体は80程度ですが、それプラス「東京駅周辺」「東京から2時間」といったエリア分けが100程度あり、その2つの掛け合わせでレコメンドを表示しているので、組み合わせとしてはもっとあります。「一休.com」には何百万人と会員がいますが、出てくる宿が同じであることはほぼないと思いますよ。

佐藤:社員同士で出てくる宿を見てもまったく違いますね。また「美味しいごはん」で出てくる時には「食事の写真」、「絶景」で出てくる時には「景色」の写真と、同じ宿でも、テーマによって出てくる写真が変わるようにもしています。

レコメンド精度の向上でヘビーユーザーの満足度を高める

――お話を伺っていると、レコメンドにかなり注力されていることがわかります。なぜそこまでレコメンドに力を入れているのでしょうか?

花房:一番は、ヘビーユーザーの皆様の満足度を高めたいという思いがありますね。「一休.com」のユーザーの中には、年に何十回もご利用いただいている方も多いです。そういった方々の宿泊タイミングや宿の好みなどは、蓄積されたデータを見るとわかります。わかっているのに、それに沿ったおすすめができていない状況だったので、ちょっともったいないよね、という話が社内でずっとあったんです。今回のリニューアルで、ヘビーユーザーさんに対して、「あ、ここ知らなかったけど、すごく私の好みに合ってる」というような、新たな出会いを作りたいと思ったんです。

 また従来のレコメンドは、ヘビーユーザーさんの嗜好に沿ったものだったので、逆にライトユーザーさんの希望に添わないということもありました。そのため、ヘビーユーザーさんとライトユーザーさんにわけてレコメンドを表示できるというのは、両方の方にとって価値があるものだと考えました。

佐藤:元々、ヘビーユーザーさんが「一休.com」を選んでくださっている理由の一つに「厳選された宿を紹介している」という点があります。今回その中からさらに厳選してお届けするレコメンドとなっているのですが、やはりライトユーザーさんよりヘビーユーザーさんのクリック率が高い傾向が出てきていますね。また全体としても、これまでのレコメンドよりもクリック率が上がっており、ユーザーの希望に応えられていることが、実績としても実感できています。

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検索ボックスの利用者が20%増全体の売上も増加

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この記事の著者

福島 芽生(編集部)(フクシマ メイ)

MarkeZine副編集長。1993年生まれ、島根県出身。早稲田大学文学部を卒業後、書籍編集を経て翔泳社・MarkeZine編集部へ。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/09/25 15:30 https://markezine.jp/article/detail/34337

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