企業が発信するすべての情報が、コンテンツになる
はじめに、本ウェビナーのスピーカーを紹介する。三井住友カードの福田氏は、同社のコンテンツマーケティングを一から立ち上げた人物。そしてReproの實川氏は、カスタマーエンゲージメントツール「Repro」のオウンドメディアを運営する。ともに、企業のデジタルマーケティングを支援するベンダー出身の2人は、SEOへの造詣も深い。
三井住友カード株式会社
マーケティング統括部 部長代理
福田保範(ふくだ・やすのり)氏
Repro株式会社
マーケティング事業部 リードジェネレーションチーム マネージャー
實川節朗(じつかわ・もとほ)氏
そんな福田氏、實川氏は、現在どのようなコンテンツを制作しているのか。本題の前に、まずは両社のコンテンツ群を見てみよう。
福田氏の三井住友カードでは、個人・法人向けクレジットカード/カードローン/加盟店の獲得推進、ブランディングなどそれぞれのKPIを目的とした、複数のメディアや読み物コンテンツを発信している。そしてBtoBマーケティングのReproは、オウンドメディア「Repro Journal」と「engagemate(エンゲージメイト)」を軸に、メルマガ登録・ホワイトペーパー・お問い合わせと、複数のコンバージョンポイントを置き、インサイドセールスへつなげる設計だ。
ここで注視したいのは、両社ともに、公式SNSや従業員による発信、PRやセミナーなども、コンテンツと定義している点だ。
コンテンツマーケティングの言葉からは、オウンドメディアやSEOコンテンツといったテキスト記事をイメージしやすいが、実際は顧客との接点すべてが「コンテンツ」である。まずは、この思い込みを見直したい。
ブランド資産とは何か?
では、ウェビナーに入ろう。そもそも「コンテンツによるブランド資産の積み上げ」とは、何を意味するのだろうか。この問いについて、實川氏が解説する。
ブランド資産は、ブランド・エクイティとも呼ばれ、提唱したデービット・アーカーによると、次の構成要素がある。
- ブランド認知(Brand Awareness)
- 知覚品質(Perceived Quality)
- ブランド・ロイヤルティ(Brand Loyalty)
- ブランド連想(Brand Associations)
- 他の所有権のあるブランド資産
それぞれの詳細は省略するが、實川氏は、「発信するコンテンツがブランド資産の何を向上しているか? がポイントです」と述べる。
しかしながら、ブランディング用途のコンテンツマーケティングには失敗も多い。たとえば、「こだわったコンテンツの閲覧が伸びない」「SNSでバズったが、ブランド想起や認知につながったかは不明」など、よくあるケースだ。さらに、コンテンツマーケティングそのものの取り組みが社内で認められず、担当者が変わった途端、更新が止まってしまった例も少なくはない。