「デザイン」「システム」「AI」三者三様の強みをサービスに集約
――皆さんは合同会社ピットリーを立ち上げられていますが、本業のビジネスはどういったことをされているのでしょうか。
安部:はい。私は開発会社専門のデザイン会社、アベデザインでソフトウェアやアプリのUI/UXデザイン、展示会で利用するパネルやチラシ、カタログの制作をしています。
林:私の経営するフォレストバーウッドは、流通業界に長くいたメンバーと立ち上げた会社で、その強みを生かして主に販売管理や在庫管理システムなどをクラウドで提供しています。
三井:私が在籍するSigfoss(シグフォス)は、AIソリューションプロバイダーとして、画像認識や自然言語処理、機械学習といったAI技術を応用した業務用ソフトウェアの開発を行っている会社です。国内自動車メーカーと共同で自動運転システムのアルゴリズムの研究開発などにも携わっています。
――そのような違う分野のプロフェッショナルとして活動されている皆さんが、どのようにして出会われたのでしょうか?
安部:出会いは、2017年10月に開催された「FUJITSU TECH TALK」のイベントです。そこで林さんはイラストを、私は趣味でたくさん撮っている写真を販売したいと意気投合したことが発端でした。
安部:イベントで紹介された富士通さんのAI「Zinrai」の活用例を見て、画像を販売するために必要なタグ付け作業をAIで行うことで、人的コストを下げられるのではないかと話が盛り上がりました。
それと富士通さんからは、参加者とのコミュニケーションの場を提供いただくだけでなく、技術支援などのサポートも手厚いため、その仕組みを活かせば我々のような中小企業でもビジネスを立ち上げられるのではと思いました。そこにAIの知見を持った三井さんを紹介していただき、3人で会社を立ち上げてプロジェクトを形にすることにしました。
互いのビジネスが競合しておらず協業しやすかったこと、それぞれの得意分野で力を発揮することで投資が少なく済むことなど、いくつかの要素が上手く合致したと考えています。
マーケティング活用を見据えてAIを成長させていく
――富士通様とはどういった協力関係で進められているのでしょうか。
安部:我々のビジネスを進めるためのキーとなる存在です。まず通常なら出会うことのなかったであろう2社と「FUJITSU TECH TALK」で出会いの機会をいただけた時点で非常にありがたいと思っています。
また、ピットリーのシステムも富士通クラウドの仮想サーバを活用したり、プロモーションもご協力いただいたりしています。開発コストは重荷になるので、そうした参加者向けの特別支援プログラムの存在は大きかったですし、富士通からのサポートもあり、ビジネスも加速できました。これから先、さらに富士通と連携を深められるビジネスにしていければと思っています。
林:開発者の方たちが集まるコミュニティで、実際にビジネスの形に仕上げるような集まりはなかなかありません。FUJITSU TECH TALKというコミュニティは様々なビジネスを模索可能な場なのだと実感しています。
日本には素晴らしい製品がたくさんあるのに、価格の安さやデザイン性で外資に押されてしまっている部分があります。そのような背景下、我々のように協業することで、中小企業も大きなところに売り込むチャンスをいただけることがある。
だからこそ、我々のモデルケースを「FUJITSU TECH TALK」を知らないような他の開発の方々に知って欲しいという想いがあります。