アフィリエイト市場の成長と“ブランドセーフティ”への課題
――インタースペースは、2001年からアフィリエイトサービス「ACCESSTRADE(アクセストレード)」を提供し、アフィリエイト広告の先駆的存在として、市場を牽引してきました。長く市場を見てこられた室山さんは、昨今のアフィリエイト広告市場の動向をどのようにとらえていますか。
室山:アフィリエイト広告が登場して20年近く経ち、市場規模も3,500億円と年々拡大しています。Googleの検索アルゴリズムや広告出稿レギュレーションも日々目まぐるしく変化しており、法人運営のメディアの参入も相次ぐ中でメディア間の競争は日増しに激しくなっております。
また長年個人のメディア運営者やアフィリエイターの皆様に支えられてきたアフィリエイト市場ですが、市場の成長にともない、中小企業だけでなく大手企業にご利用いただくことも増えてきました。
室山:広告主やブランドメディアにアフィリエイト広告を安心してご利用いただくためには、ブランドセーフティに気を配る必要があります。にもかかわらず、昨今、広告主も広告配信プラットフォーム事業者も、意図せぬクリエイティブリスクにさらされるケースが増えています。
版権や著作権を軽視したものや薬機法違反に該当するコンテンツが掲載されていたり、モラルを欠いた手法も多く見られます。重度の違反に対する摘発やユーザーの不満がクレームという形で顕在化するなど、市場としては信用の低下にもなりますし今後の成長に向けた大きな課題と捉えています。
こうした状況を踏まえ、JIAA(日本インタラクティブ広告協会)やJAA(日本アドバタイザーズ協会)などの業界団体は、不正なインターネット広告を排除するため様々な声明を発表しています。アフィリエイト業界でも、ブランドセーフティを重視する対応をしっかり行っていく必要があると考えております。
広告市場の繁栄には“ユーザーを守る”という概念が大切
――フォースリーも長く同市場を牽引されてきた一社ですが、有國さんは昨今の動向をどのようにとらえていますか。
有國:とりわけDSP広告の登場から現在までのこの間、運用型広告の著しい進化を目の当たりにしてきました。緻密なトラッキング、計測分析やターゲティングができるようになり、ユーザー単位でコンテンツをパーソナライズすることも容易になりました。技術の深化だけでなく、応じてその展開範囲も飛躍的に拡大されたと思います。
有國:しかし振り返り感じるのは、CVRや広告収益に直結する、いわば「オフェンス」面は強くなったものの、その技術深化に対して「ディフェンス」面には相応に目が向けられなかったことです。
アフィリエイト市場においては特に、生産性に対しての成果報酬というドライな関係性であることから、思想浸透という点は困難を極めます。そのため思想止まりではなく、強い信念でオペレーションに落とし込めるシステムとして開発したのが「LOGRIZa(ログリザ)」です。