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「信頼を可視化する」ACCESSTRADE×LOGRIZaが目指す、アフィリエイト市場の健全化

 ブランドセーフティを求める声が日増しに強くなる中、広告主やメディア運営企業は、版権や薬機法に違反するクリエイティブリスクを抱えないよう、細心の注意を払っている。アフィリエイトサービス「ACCESSTRADE(アクセストレード)」を提供するインタースペースは2019年7月、広告事業者プラットフォーム8社と「ネット広告の健全化に向けた共同声明」を発表。また今年3月には、フォースリーの掲載面管理システム「LOGRIZa(ログリザ)」の導入で広告掲載面の可視化も実現し、健全的なアフィリエイトサービスの提供に取り組んでいる。インタースペース執行役員の室山氏とフォースリー事業推進室 室長の有國氏に、昨今のブランドセーフティを取り巻く近況、両社の取り組みについて聞いた。

アフィリエイト市場の成長と“ブランドセーフティ”への課題

――インタースペースは、2001年からアフィリエイトサービス「ACCESSTRADE(アクセストレード)」を提供し、アフィリエイト広告の先駆的存在として、市場を牽引してきました。長く市場を見てこられた室山さんは、昨今のアフィリエイト広告市場の動向をどのようにとらえていますか。

室山:アフィリエイト広告が登場して20年近く経ち、市場規模も3,500億円と年々拡大しています。Googleの検索アルゴリズムや広告出稿レギュレーションも日々目まぐるしく変化しており、法人運営のメディアの参入も相次ぐ中でメディア間の競争は日増しに激しくなっております。

 また長年個人のメディア運営者やアフィリエイターの皆様に支えられてきたアフィリエイト市場ですが、市場の成長にともない、中小企業だけでなく大手企業にご利用いただくことも増えてきました。

株式会社インタースペース 執行役員 室山一茂氏
株式会社インタースペース 執行役員 室山一茂氏

室山:広告主やブランドメディアにアフィリエイト広告を安心してご利用いただくためには、ブランドセーフティに気を配る必要があります。にもかかわらず、昨今、広告主も広告配信プラットフォーム事業者も、意図せぬクリエイティブリスクにさらされるケースが増えています

 版権や著作権を軽視したものや薬機法違反に該当するコンテンツが掲載されていたり、モラルを欠いた手法も多く見られます。重度の違反に対する摘発やユーザーの不満がクレームという形で顕在化するなど、市場としては信用の低下にもなりますし今後の成長に向けた大きな課題と捉えています。

 こうした状況を踏まえ、JIAA(日本インタラクティブ広告協会)やJAA(日本アドバタイザーズ協会)などの業界団体は、不正なインターネット広告を排除するため様々な声明を発表しています。アフィリエイト業界でも、ブランドセーフティを重視する対応をしっかり行っていく必要があると考えております。

広告市場の繁栄には“ユーザーを守る”という概念が大切

――フォースリーも長く同市場を牽引されてきた一社ですが、有國さんは昨今の動向をどのようにとらえていますか。

有國:とりわけDSP広告の登場から現在までのこの間、運用型広告の著しい進化を目の当たりにしてきました。緻密なトラッキング、計測分析やターゲティングができるようになり、ユーザー単位でコンテンツをパーソナライズすることも容易になりました。技術の深化だけでなく、応じてその展開範囲も飛躍的に拡大されたと思います。

株式会社フォースリー 事業推進室 室長 有國 成晃氏
株式会社フォースリー 事業推進室 室長 有國成晃氏

有國:しかし振り返り感じるのは、CVRや広告収益に直結する、いわば「オフェンス」面は強くなったものの、その技術深化に対して「ディフェンス」面には相応に目が向けられなかったことです。

 アフィリエイト市場においては特に、生産性に対しての成果報酬というドライな関係性であることから、思想浸透という点は困難を極めます。そのため思想止まりではなく、強い信念でオペレーションに落とし込めるシステムとして開発したのが「LOGRIZa(ログリザ)」です。

配信事業者9社で「広告の健全化声明」を発表

――アフィリエイト市場で、インタースペースの提供する「ACCESSTRADE」はどのような特徴を持っているのでしょうか?

室山:「ACCESSTRADE」は約50万のパートナーサイトネットワークを持ち、幅広い業種の広告主に対し様々な属性のメディアを提供できることを強みにアフィリエイト広告業界のリーディングソリューションとしてシェアを拡大してきました。金融、EC、人材などの各種サービスに対して、それぞれ専門的なサポートを行っており、「仮想通貨」や「格安スマホ」などの新しいトレンドのキャッチも得意としております。

――では、市場の課題として挙げられていた「ブランドセーフティ」についてはどのような取り組みをしてきたのでしょうか?

室山:2019年7月、広告配信プラットフォーム事業者と連携し「ネット広告の健全化に向けた共同声明」を発表しました。当社はその旗振り役として、各社の意見や要望などを取りまとめる役割を担いました。

 この声明をきっかけに、当社は取引先各社とも様々な話し合いを重ねました。たとえば、獲得効率を高めるため過度な広告訴求を行う広告主とは、お取り引きを控えさせていただくことを決めました。また各メディアには法令遵守や掲載面の開示、特筆すべき事象が起こったときに誠実に対応するといったことについて改めて合意を求めました

 実際に業績への影響はありましたが、それ以上に市場やステークホルダーに対して誠実に対応し、業界全体の指針となることが重要だと判断しました。

「LOGRIZa」の導入で広告掲載面を可視化

――リーディングカンパニーが率先して健全化に取り組めば、業界全体も方向転換せざるを得なくなりますね。こうした取り組みについて、広告主やメディアからどのような反応がありましたか。

室山:残念ながらご賛同いただけないケースもありましたが、こうした姿勢を大いに評価いただき、ブランドセーフティを高められると、これまで以上に取り引きいただくケースもありました。様々な声をいただき、勇気づけられましたね。

――フォースリーの掲載面管理システム「LOGRIZa」を導入したのは、広告の掲載面を知りたいという広告主側からの要請によるものですか。

室山:そうです。「LOGRIZa」を導入したのは今年の3月ですが、以前から自社の広告がどのようなメディアに、どのような見え方で掲載されているのか知りたいという広告主の声が多数届いていました。掲載面の可視化の必要性を痛感していたのです。

 ちょうど前年の11月に、多数の広告主からなるJAAが「デジタル広告の課題に対するアドバタイザー宣言」を発表し、「すべてのアドバタイザーとパートナーが取るべき8つの原則」の一つとして「厳格なブランドセーフティの担保」を上げました。

 それに加えて、当社が加盟するJIAAも2月に「デジタル広告の課題解決に向けた共同宣言」を発表。広告主も広告配信プラットフォームも、恊働して掲載面の透明性を担保し、ブランドセーフティに取り組んでいこうと足並みをそろえたところでした。

 フォースリーの「LOGRIZa」を導入すれば、掲載面の管理・確認ができるようになり、広告主・消費者の双方に対して高い信頼性と透明性を担保できると考えました。

広告主と広告配信プラットフォーム、双方の課題を解決

――「LOGRIZa」ではどのように掲載面を管理・可視化しているのですか?

有國:「LOGRIZa」はインターネット広告の掲載面をモニタリングするシステムとして、2019年7月に外部向けにもサービスリリースしました。社内ではそれより以前からアクティブなシステムです。

 広告主にとって、配信された広告がモラルや法令に則った内容で掲載されているかどうかわからないという大きな課題が以前よりありました。当社は広告主のハウスエージェンシーを務めることも多く、リスクの感度や方向性も近いため必要性を感じていたのです。また広告配信プラットフォームにとっては、事前審査をして配信した広告が、後から不適切な内容に書き換わっているケースを捕捉・阻止するのが難しい実態もありました。

 業界内では掲載面や配信された広告を目視チェックする人員を採用したり、代行業者にチェックを外注する企業様も少なくありません。しかし数も膨大で費用効率は良くない上、サイト閲覧のピークタイムが営業時間外であることから目視確認の限界という実務上の難点もあります。

 そこで、やはり「システムでの対応必要性」を前提に、様々な立場の広告従事者にとって実務上有効に機能するように、シンプルかつ直感的なUI/UXで、クリエイティブリスクをすばやく判別できる仕様まで落としこんで開発を行っています。

LOGRIZa 管理画面UI。差分が発生した内容を確認する担当者のリテラシーに依存せず、変更点をシンプルに理解出来る仕様となっている。

「LOGRIZa」管理画面UI
担当者のリテラシーに依存せず、差分が発生した箇所をシンプルに理解できる仕様となっている

リーディングカンパニーとして、市場を正しく牽引していく

――室山さんは、「LOGRIZa」を利用してどのような手応えを感じていますか。

室山:掲載面の確認・管理ができるようになったばかりか、透明性が担保できるようになりました。それに加えて、「信頼関係の可視化」ができるようになったと感じています。

 ありがたいことに、当社ではこれまで重度な法令・モラル違反は起こっていません。それは各広告主やメディアのみなさまが当社のスタンスに共感してくださったおかげだと思っています。だからこそ、「LOGRIZa」で掲載面を確認・管理をすることで、当社のこれまでのスタンスを可視化することができ、各取引先との信頼性を強化することができると考えています。

 今では当社、広告主、メディアのいずれもクリエイティブリスクのチェックに割く工数を大幅に削減することができています。おかげさまで当社の取引企業も増えました。もちろん、管理画面は当社の有資格者のみが閲覧できるようにし、各企業の機密情報を厳重に管理しています。

「LOGRIZa」活用イメージ
掲載面の確認体制

――では最後に、今後の展望をお教えください。

有國:「LOGRIZa」をリリースして1年強が経ち、広告会社や広告主への導入が進み、広告配信プラットフォーム事業者様にも広告審査のいちプロセスに組み込んでいただくことも出てきました。導入企業様からは、成果報酬型の広告内容の透明性が上がり、予算投下できるようになったとご好評いただいています。

 各事業者1社あたりのリソースには、やはりどこかで限界があると考えています。そのためコスト効率の担保された成果報酬型の施策で、外部パートナーを活用し拡大展開していくことは非常に合理的だと考えているんです。「LOGRIZa」の類似サービスはまだない中で模索点は多くありますが、正しく伸展する術として一助になるべく機能拡張していければと考えています。

室山:当社は今後もアフィリエイト広告のリーディングカンパニーとして、市場の方向性を正しく牽引していかねばなりません。そのためには、「ACCESSTRADE」の健全性をより一層強化しなければならないと考えております。

 そのうえで、テクノロジーやデータを駆使して各クライアントの新しいニーズや課題解決をしながら提供価値や成果を高め、アフィリエイトが世の中にもっと必要とされるものにしていきたいですね。

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この記事の著者

石川 香苗子(イシカワ カナコ)

ライター。リクルートHRマーケティングで営業を経験したのちライターへ。IT、マーケティング、テレビなどが得意領域。詳細はこちらから(これまでの仕事をまとめてあります)。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2020/11/13 10:00 https://markezine.jp/article/detail/34577