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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2020 Autumn

ブランドは小さな体験の積み重ねで形成される Anker、銀のさらのブランディング戦略

マルチチャネルの時代だからこそ、一つひとつの小さな接点を重視する

南坊:では最後に、お客様に選び続けていただくための仕組みづくりについて、お二人の見解を教えてください。

猿渡:当社の場合、製品を投入して売り上げの推移を見て、レビューから得られるインサイトを開発チームにフィードバックし、製品開発に反映するというサイクルをとにかく短期間で回しています

 たとえば、当社は毎週火曜にビジネスチームのレビュー会を実施しています。そこで最後の時間はカスタマーサポートチームに入ってもらって、先週どのようなレビューがあったのかを発表します。VOCのデータは定量的・定性的に分析して、それに対してどのようなアクションを取っていくかを話して週次で開発チームに共有しています。

 レビューの評価が下がると、購入転換率もわかりやすく下がります。逆にいえば、製品の改善サイクルを早く回して評価を維持、もしくは向上していける仕組みを持っていれば、競合が無数にいる大手ECプラットフォームでも戦えるのではないかなと思います

南坊:Ankerさんは、カスタマーサポート部隊は外注せず、社内に設けているんですよね。

猿渡:はい。お客様の声を一番よく聞いているのはカスタマーサポートの皆さんなのですごく重要な役割だと認識しています。

 お客様の声を拾う役割もありますし、たとえば初期不良を引いたお客様に対して、いかに良い対応ができるかも大事です。その対応次第で、企業への印象が大きく変わる。

 一つひとつの対応はごく小さいものですが、それが積み上がっていくのか、もしくはマイナスに転じるのかでブランド価値は大幅に変動します。これだけは時間をかけて積み上げないといけません

南坊:おっしゃる通りですね。不良品が届いた時点では印象が悪いですが、応対の内容次第でファンになる場合もありますから、ブランドの印象を左右する重要な接点だと思います。

期待を生み出し、それに応える仕組みづくり

正木:当社の場合、エリアビジネスというか、ほぼ会員ビジネスのようなものなので、既存のお客様とどれだけ長期的な関係性を築けるかが重要になってきます。それを大前提として、期待を生み出しながら、生み出した期待に応えるサイクルを回しています

 期待を生み出す仕掛けというのは、たとえばメニューチラシがそうです。紙質やデザインなど、クオリティにかなりこだわりを持って作っていて、ある程度高級感が醸し出せているかなと思います。チラシに高級感があれば、商品にも同様のイメージを持ってもらえる。「大事な日に注文しよう」と思ってもらえるんです。その期待値に対してしっかり商品で応えていきます。

南坊:チラシ以外の接点も重視されているのでしょうか。

正木:はい、一つひとつの接点をすごく大事にしています。デリバリーの場合、通常の飲食店に比べてお客様との接点が少ない。電話で注文を受けるときとお届けするときという、本当に点でしかないんです。

 特別な日に頼むお寿司は、決して安い買い物ではありませんからね。祝い事を成功させるための要素として銀のさらのお寿司を頼んでいただく場合が大きい。だからこそ、一つひとつの接点を大事にしつつ、商品でしっかり期待に応えてお客様のお祝いの場をより良いものになるよう意識しています。

南坊:今回、宅配寿司とデジタルガジェットという、まったく異なる業態のお二人に話していただきましたが、今の時代にフィットするマルチチャネルを構築し、お客様が心地よく選べる選択肢をしっかり提供されている点は同じでしたね。

 両社のように、お客様との接点の質を上げていけば、自然とブランドが醸成されていく。マルチチャネルの時代だからこそ、一つひとつの接点を大事にしていかなければいけないんですね。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2020/10/29 08:00 https://markezine.jp/article/detail/34592

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