大手プラットフォーマーが提供する解析基盤も有効活用
4つ目のソリューションは、大手プラットフォーマーが提供する解析基盤です。今までの代替手段とは異なり、プラットフォームや利用用途を特化した形での手段になります。GAFAと言われる大手プラットフォーマーたちが3rd Party Cookieやプラットフォーマー側が実施している規制に対応するための手段として、プラットフォーマー側から解析基盤やデータ活用基盤が提供されつつあります。

その例として挙げられるのは、Googleが提供しているAds Data HubやAmazonが提供しているAmazon Marketing Cloudなどです。これらのサービスは、特定のプラットフォームかつ限られた用途にしか対応していませんが、これまで可能だったリターゲティング広告やアトリビューション分析などを、プラットフォーム保有のデータによって実現できるようになるサービスとなっています。
これらのサービスは特定のプラットフォームにおいて継続的に今までできていたマーケティング手段を継続できるというメリットがあります。その一方で特定のプラットフォームへの依存度が上がるとともに、データ提供もこれまで以上に行う必要があるため、プラットフォーマー側から行われる規制が強化された際や何らかの制約をプラットフォーマーが設けた時に都度影響を受けてしまうという課題があります。
プラットフォーマーの規制に対して影響を受けづらいという意味では、このソリューションを選ぶメリットは大きいのですが、依存度を上げすぎてしまうことへのリスクも高いため、他のソリューションとの併用をしていくなどの逃げ道も用意しつつ活用をしていくのが良いのではないでしょうか。
今後収集可能なデータを活用したアプリケーション
最後は今までのソリューションと比べるとあまり確立されたソリューションが存在していないのですが、データ活用を継続していくというために何らかのIDやプラットフォームに依存しないサービスを検討する必要があります。
たとえば、IDとして緯度経度などの位置情報を活用すれば、緯度経度がわかる環境においてはデータ活用ができます。また、データが0の状態と比較したら、若干最適化することができるというレベルであれば、他にもちょっとしたデータが最適化には活用できるかもしれません。
そういった意味で言えば、国内の法律やプラットフォームの規制に影響を受けづらいデータというのを定義してデータ活用を検討していくことも必要になると考えられます。
2022年までに1つに依存しないソリューションの選び方を
法律やプラットフォームによる規制は、その時々で状況が変化しやすいものです。ここまでで紹介した様々なソリューションの1つに依存するというのはリスクが高いと思います。そういった意味では、3rd Party Cookieの代替手段として特定のソリューションに依存するのではなく、今できている必要なことを実現するための手段の全体像を把握して、複数のソリューションを検討していくことが、少なくともここ数年ではとても重要だと思います。
Chromeの3rd Party Cookieの規制が2022年の1月、日本の個人情報保護法改正が2022年の6月に予定されるなど、今後1年~2年は変化に対応することが肝となるでしょう。現状の施策整理や、代替テクノロジーを使ったテストや施策実行まで考えると、時間的な余裕はかなり少なくなってきています。データ活用やデジタル化を推進していく上でそろそろ検討を始めてもいいのではないでしょうか。