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ユーザーを動かすUXライティングの基本は「ユーザー理解」と「読み手視点の言葉選び」

 Webサイトやメルマガ、アプリやSNSなど、マーケターがユーザーに向けた文章を作る機会は少なくありません。ですが、なかなか思うようにユーザーに行動してもらえない場合が多いと悩んでいる方もいるのではないでしょうか。そんなときに意識したいのが、ユーザーの体験価値を向上させるUXライティング。今回はライティング教育の専門家である髙橋慈子さんと冨永敦子さんによる『ビジネスマンのための新教養 UXライティング』(翔泳社)から、ユーザーを理解して文章を作るための基本を紹介します。

本記事は『ビジネスマンのための新教養 UXライティング』の「3.2 ユーザー観察とインタビューでユーザーを知る」「4.2 語りかけるように書く」「4.3 ユーザー視点でことばを選ぶ」を抜粋したものです。掲載にあたり一部を編集しています。

3.2 ユーザー観察とインタビューでユーザーを知る

ユーザーを外側から観る、内側から聴く

 UXデザインでは、ユーザーをよく観察し、ユーザー自身が気づいていないニーズや困りごとを引き出していきます。プロセスの最初である調査・分析では、ユーザーの行動観察とインタビューの手法を活用します。

 ユーザーの行動観察は、システムやサービスを利用しているユーザーの行動を外側から観て、記録・分析するものです。

 インタビューでは、行動観察からではわからない、ユーザー自身が気づいていないニーズや、本質的な欲求を聴いていきます。

 図3.2.1のように、ユーザーの行動観察とインタビューを組み合わせることでユーザーを外側と内側から「観る、聴く」ことができます。これらは頭の中で想像していたユーザーからはわからなかった、「新たな気づきを得るための手法」です。

ユーザーの環境で行動をじっくり観る

 ユーザーの暮らしや仕事、公共の場所など、ユーザーがシステムやサービスを利用する実際の場所で、ユーザーがどのような行動をしているのかを観るのがユーザーの行動観察です。

 業務システムならば、オフィスで、どのような業務をしているときに、どのようにシステムを使っているのかを観察します。行政のシステムならば、市役所などで担当者と市民がやり取りしながら、どのようにシステムを利用しているのかを観察します。

 メモを取る、動画を撮るなどして記録し、一連の行動を通して、ユーザーがどのようにシステムやサービスを利用しているのかを観察しましょう。時間がかっている作業や、とまどいながら進めている操作はどこなのかなど、行動を通して課題が見えてきます。

図3.2.1 ユーザーの行動観察とインタビューの関係
図3.2.1 ユーザーの行動観察とインタビューの関係

インタビューの質問を用意する

 ユーザーにインタビューを行うときは、前もって質問事項を用意します。インタビューにかけられる時間によって、質問の数が変わります。インタビューの目的や何を知りたいかに応じて質問の数や内容を決め、インタビュー全体を設計しましょう。

 インタビューで使う質問には、次の2つのタイプがあります。この2つを組み合わせて聞いていきます。

  • クローズド質問:「はい」「いいえ」で答えられる質問
  • オープン質問 :「なぜ?」「どのように?」を引き出すための質問

 クローズド質問は、例えば「学習アプリを使っていますか?」というものです。「はい」か「いいえ」で答えられる、答えやすいタイプの質問です。

 オープン質問は、そこから深堀りしていくものです。先のクローズド質問で「はい」という回答があったら、「どのようなときに、どのような目的で使っていますか?」といった質問をすると、より具体的な使い方がわかります。また、「いいえ」という回答があった場合は、「なぜ、使っていないのですか?」と聞くことで、使っていない理由を探っていくことができます。

 答えやすいクローズド質問から始めてオープン質問へと進めていくとよいでしょう。オープン質問では、ユーザーが表に出していない情報はないかなどに注意して、じっくりと聞いていきます。あらかじめ決めた質問順に沿って質問を進めていくのではなく、ユーザーから教えてもらう姿勢で聴いていきましょう。ここでも、ユーザーを中心に考えることが重要です。

ユーザー同士の気づきを促すことも効果的

 インタビューでは複数のユーザーに個別に聞くことで、ユーザーの多様な声を引き出すことができます。

 また、数人のユーザーをグループに分けて、質問に対して意見を述べてもらう「グループインタビュー」の方法をとることもあります。ユーザー同士が、互いの意見を話し、聴くことで、率直な感想や隠れたニーズを引き出すことができます

 さらに、「ワークショップ」を実施して、ユーザーとともに考え、ユーザーの隠れたニーズや「ことば」を引き出していく方法があります。「ワークショップ」は、課題を設定し、参加者同士が課題に取り組むことで、体験を通して、気づきを引き出すものです。例えば、学生を集めて、「自分たちがもっとも使える、就活サイトを作ってみよう」といった課題を設定し、数時間から1日の中でいくつかのワークを通して具現化していきます。ワークショップ全体を設計することが重要です。

 その際、設計した内容にそって進める、「ファシリテーター」と呼ばれる進行役も決めておきます。ファシリテーターの役割は、中立的な立場で、グループワークを支援することです。

図3.2.2 クローズド質問の例
図3.2.2 クローズド質問の例
図3.2.3 オープン質問の例
図3.2.3 オープン質問の例

4.2 語りかけるように書く

読み手が読む気をなくす文章とは

 世の中には、読み手にまったく合っていない文章があります。なぜ、こんなことになるのでしょうか? それは「読み手に語りかける」という発想がないからです。

 文例4.2.1は、企業側から配信されるメールの留意点を書いたものです。読み手はコンピューターの専門家ではなく、普通のユーザーを想定しています。年齢層も幅広く、普段読んでいるものもさまざまです。

 しかし、普通のユーザーを対象としている割には、コンピューター特有の表現が多く使われています。例えば「メール配信が行われる」がその1つです。あなたは「友だちにメール配信を行った」「お母さんからメール配信された」といいますか? 普通は「友だちにメールを送った」「お母さんからメールが届いた」というでしょう。

 また、ビジネス文書特有の堅い表現も見られます。文例4.2.1に書かれている「事由」「遅延」はビジネス文書で使われることはありますが、日常生活で使われることはあまりありません。

 日頃からビジネス文書を読んでいてこのような堅い表現に慣れている人ならば、抵抗なく読めるでしょう。しかし、そうでなければ「事由」「遅延」という文字を見ただけで読む気をなくしてしまいます。

読み手を想像し、語りかける

 このメール配信についての留意点を書き直すために、まず読み手が目の前にいることを想像します。例えば、あなたの家族や知り合いでもかまいません。このメールを受け取る人を想像してみましょう。その人に語りかけるように書きます

 そうやって書いたのが文例4.2.2です。コンピューター特有の表現「メール配信が行われる」は、日常会話で使われる表現「メールが届く」に書き直しました。「遅延」といった漢字の熟語も、日常会話で使われる「遅れる」という表現に書き直しました。漢字の熟語はひらがな混じりのことばに置き換えると、雰囲気がやわらかくなります。

文例4.2.1、4.2.2

 「事由」は「理由」に置き換えることができますが、「システム障害等のやむを得ない理由により、」ではまだ堅いです。普通、そんなふうには話しません。目の前に読み手がいるのならば「システム障害などのやむを得ない事態が起こった場合は、」などと語りかけるのではないでしょうか。

 語りかけるように書くには、ペルソナ法が役に立ちます。ディスプレーに文字を打つのではなく、ペルソナシートの似顔絵に向かって語りかけてみてください。ペルソナに届く表現が見つかるはずです。

図4.2.1 読み手を具体的に想像し、話しかけるように書く
図4.2.1 読み手を具体的に想像し、話しかけるように書く

4.3 ユーザー視点でことばを選ぶ

日常感覚に合った表現を使う

 電化製品などの取扱説明書では、読み手が混乱しないように、ことばや表現を統一するのが一般的です。しかし、無理に統一すると、違和感のある文章になる場合があります。

 文例4.3.1は、レンタルサービスのサイトで商品の予約手順を説明しているところです。この例では、どの手順も「~を指定して~ボタンを押してください」という表現に統一しています。そのため、文字だけを見ると、整然とそろっている感じがします。

文例4.3.1 「~を指定して~ボタンを押してください」に統一
文例4.3.1 「~を指定して~ボタンを押してください」に統一

 しかし、利用したい日にちをカレンダーから選ぶのに「日にちを指定する」というのは、いかにも「コンピューターの操作」という感じがします。自分の名前や連絡先を入力ボックスに入力することを「指定する」というのもなんだかヘンです。

図4.3.1 文例4.3.1 は、ユーザーにとってはピンとこない
図4.3.1 文例4.3.1 は、ユーザーにとってはピンとこない

 文例4.3.2では、ユーザーが実際に行う操作や日常感覚に合わせて、ことばを変えました。例えば、「カレンダーから日にちを指定して」は「利用したい日にちを選んで」とし、「お名前、電話番号を指定して」は「お名前、電話番号を入力して」としました。こちらのほうが、ユーザーにはしっくりきます。

文例4.3.2 実際に行う操作に合わせて表現を変更
文例4.3.2 実際に行う操作に合わせて表現を変更

普段使っていることばは業界用語かも

 コンピューターなどの取扱説明書では、「設定を行う」「印刷をする」などのことばをよく見かけます。しかし、新聞など一般の読み物では、「設定する」「印刷する」と表現します。「設定を行う」「印刷をする」は、実はコンピューターならではの表現なのです。

 もしかしたら、会社の中で普段あなたが使っていることばも業界用語かもしれません。ユーザー向けに書く際は、もう一度ことばを見直しましょう。

ユーザーが「何をできるようになるのか」を書く

 文例4.3.3では、レンタルサービスの登録方法を説明しています。法人向けの説明と個人向けの説明では必要事項は異なりますが、文の形や語ご彙いは同じです。法人向けならばこのくらい堅い表現でもよいと思いますが、個人向けにはやや堅すぎます。

文例4.3.3 法人向けも個人向けも文の形や語彙は同じ
文例4.3.3 法人向けも個人向けも文の形や語彙は同じ

 文例4.3.4は、思い切って文の形を変えてみました。「このレンタルサービスをすぐにご利用いただけます」というように、ユーザーが何をできるようになるのかを最初に書いています。

文例4.3.4 個人のユーザーに寄り添った表現に修正
文例4.3.4 個人のユーザーに寄り添った表現に修正

 個人向けの説明は、ユーザーの年齢層に合わせてカジュアルな表現を使ってもよいでしょう。ユーザーにマッチした表現を考えてみましょう。

ユーザーにとって「どんなよいことがあるのか」を書く

 文例4.3.5では、レンタルサービスのステージの1 つである「ゴールドステージ」について説明しています。簡潔でわかりやすい説明ですが、「ゴールドステージとは~」という説明の仕方なので、単なる用語説明になっています。

文例4.3.5 確かに説明しているが、ただの用語説明
文例4.3.5 確かに説明しているが、ただの用語説明

 文例4.3.6は、ユーザーの視点に立ち、ユーザーにとってどんなよいことがあるのかを書いています

文例4.3.6 ユーザーにとってよいことを書く
文例4.3.6 ユーザーにとってよいことを書く

 ユーザーの視点になっているかどうかは、文の主体(誰が/誰は/誰の)を加えてみるとわかります。ユーザーに語りかけるように、この文に「あなた」を加えてみます。

あなたの利用ポイントが5000ポイントに到達すると、あなたはゴールドステージにランクアップします。

 修正前と異なり、「あなた(ユーザー)」の視点から書かれていることがわかります。

ビジネスマンのための新教養 UXライティング

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ビジネスマンのための新教養 UXライティング

著者:髙橋慈子、冨永敦子
発売日:2020年11月30日(月)
定価:1,680円+税

本書について

「ユーザー体験」「読み手への配慮」という視点は、Webサイトやアプリの制作に携わっている方はもちろん、一般ビジネスマンにとっても必要な考え方、スキルの1つとなりました。そこで本書では、具体的な例を通してUXライティングの手法を紹介しています。

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