事業会社から支援会社に転職、その理由は?
MZ:理論と実践を行き来しながら、学んだ理論を自分のものにしていくのは、非常に重要だなと勉強になりました。次のターニングポイントについても教えてください。
遠藤:次は、CRMなどのマーケティング支援を行っていた電通ワンダーマンに転職したときですね。先ほどのベンチャー企業ともう1社を経て、一度マーケティングを専門に支援する会社で改めて勉強し直したい、と考えて転職しました。
研修の仕組みもきちんと整っていて、第一線でご活躍されている素晴らしい上司やプロフェッショナルの方々を通じてマーケティングに関する最新の情報も入ってきやすい環境の中で、戦略的に物事を考えるということをひたすらにさせてもらいました。自分の中ではこのときの修行が大きなターニングポイントとなりました。先ほどの実務と座学をより整備された環境で行うことができたので。
ブランド責任者の視座を持つためにはどうすればいい?
MZ:その修業期間を経て、ウォルト・ディズニー・ジャパン、ギャップジャパン、フェラーリジャパンと誰もが知る事業会社のマーケターとしてご活躍されていますが、この中で大きな転機となったことはありますか。
遠藤:ギャップジャパン時代はターニングポイントになっていたと思います。ブランドの総責任者として経営の一角を担わせていただき、とても大きな財産となっています。360度でマーケティング戦略を考えて施策をコントロールし、事業目標を達成しないといけないというプレッシャーの中でたくさんの経験を、チームのみんなと積むことができました。
特にギャップは自社で商品企画から生産を行い、チャネルも店舗とECがあり、オウンドメディアも持っています。それらを駆使して毎日PR、クリエイティブ、そしてマーケティングチームの全員と試行錯誤していました。
MZ:マーケターの中にも、いずれはブランドマネージャーやCMOのような責任者になりたいと考える人は多いと思うのですが、どのようにマネージャーとしての視座を身に付けていったのでしょうか。
遠藤:結果的に変わる部分もありますが、意図的に視座を上げていくことはできると考えています。たとえば、私はギャップにデジタル担当として入社しました。ロイヤリティープログラムのリニューアルやSNSのローンチなどから関わっていましたが、その過程で自然と他部署からの商品告知の相談や、ストアの店頭販促の支援を行うようになっていきました。
さらにマーケティングの打ち手を仕掛ける中で、他の部署が課題と感じていることや困っていることなどをヒアリングしていました。私はそこで相談された内容を解決できるアイディアを提案したり、PRの部署にブランドキャンペーンのデジタル展開を提案したり、マーチャンダイジングのチームが考えている新商品のキャンペーン企画の相談に乗ったりと、意図的に他部署との仕事を増やしていました。
自分が意図してそうした訳では決してありませんが、カバーできる領域が広がり、その中で解決できる内容も幅が出て、社内の様々な人から相談されるようになっていきました。その積み重ねの中で自然と視座も上がり、ブランド全体、ビジネス全体を見る目が養われたのでは、と感じています。