『堅あげポテト』ファン以外の人が手に取るきっかけに
徳力:味だけでなく、応援部では商品の宣伝まで手伝っていただく流れになっているんですね。発売後の評判はどうですか。
福原:販売実績もとても良いのですが、プラスアルファの観点でもお客様から評価を頂いています。
たとえば第一弾で作った「ゆず塩レモン味」は、弊社に寄せられたお客様の声の件数が、同年発売した他の味替わり商品と比べてダントツで多かったですし、第二弾で作った「海老しお味」はブランド新規購入者割合というグラフで示すように、直近一年間、普段は『堅あげポテト』をまったく買っていない人が買ってくださった割合が多かったです。

徳力:普通の味なら買わないけど「海老しお味」だから買ったという方がいるということか。なるほど、そういう観点からのリサーチもあるのですね。
福原:はい。これによって、ファンと作った商品は、ファン以外の方、普段『堅あげポテト』を購入しない方にもちゃんと届いているということがわかりました。
徳力:「堅あげポテト 応援部」としての今後の活動予定、展望について教えてください。
福原:2020年7月にアジャイルメディアさんとも相談しながら「堅あげポテト 応援部」に、新機能「応援部カード」を実装しました。
これは、「堅あげポテト 応援部」の中で活動に参加したり、SNSでハッシュタグ「#堅あげポテト応援部」を付けて投稿していただくと、「あなたの堅あげ愛」という形で、『堅あげポテト』に対する愛が見える化されるといったようなものです。
今後、このカード機能を使って、部員のみなさん一人一人の堅あげ愛を育んでいただき、その熱量に応じてこちらからのアプローチも変化させていくことで、『堅あげポテト』が好きでもっと関与したい、貢献したいといったように思ってくれる方をどんどん増やしていけたらいいなと思っています。

積極的にファンと共創ができる社内の体質はどう作る?
徳力:ファンと商品開発する共創プロジェクトはぼくもずっとやりたくて、いろんな会社さんに提案しているのですが、弊社がお手伝いしているアンバサダープログラムでは、宣伝として商品の口コミを広げてほしいというニーズが圧倒的に多く、担当者がやりたいと思っていても、実施にハードルがあると感じています。カルビーでは、なぜこういう共創企画がすんなり通ったのか、お伺いできますか。
福原:やはり、企業風土として、お客様の声をしっかり商品に反映する文化が根付いているからというのが一番でしょうか。
弊社では、お客様相談室に寄せられたお申し出を、内容によって「ご相談」や「ご指摘」と呼んでいるのですが、すべて社内の企画部署で共有できるようになっており、可能なものは商品に反映し、お客様にそのことをホームページにてお知らせしています。
徳力:「かしこまりました。お話は承りました」というところで大半のやりとりは終わると思いますが、お客様にお知らせするんですか。
福原:そうですね。私も最初は驚きました。もちろんお客様からの声を社内で共有して開発企画に活かそうというのはどこの会社でもやられていることかと思いますが、お客様にこうやって改善しました、とお知らせするのはすごいことだなと思いますね。
また頂いた「お客様の声」を社内で聞く機会が定期的に設けられています。我々のような所属でも具体的にお客様を想像できますし、啓蒙活動の一環になっているかと思います。
徳力:実際の声をそのまま聞くとはこのことですね、驚きです。カルビーは、マスマーケティングがメインのマスプロダクトを扱うのに、少数のファンの方達とこうやってていねいに商品開発の話をしていけるのはどうしてだろう、とも思います。
福原:もちろん、弊社の商品は一般流通でマスに対して売るものですが、お客様の声を反映して実績がしっかり出ましたし、『堅あげポテト』からちょっとブレた味を過去出してしまった際には、古くからのファンの方に苦言を頂いたこともあると聞いています。
このような、ブランドの価値に立ち返ることができるという意味でもファンの皆さんと共創するというのは非常に意義のあることと思っています。