HubSpotが「INBOUND 2020」で取り組んだ2つのこと
ではここで、我々HubSpotが年次カンファレンス「INBOUND 2020」を初のオンライン開催で実施した際に、どのようなことに取り組んだのかをご紹介しましょう。
前提として、イベントとは多くの人々が同じ会場に集まり、いきいきと会話を交わす場です。そして、何か指針となるような対話や、収集・選別のうえで提供したコンテンツが核となって互いに結びつく場です。イベントとはコネクションであり、コミュニティなのです。
「INBOUND」は、これまでもHubSpotのためのイベントではなく、常に“業界のためのイベント”でした。私たちが愛着と自信を持って開催してきたイベントで、何をするにも常にオーディエンスを中心に置くことを意識してきました。
私たちのオーディエンスは今、子どもたちと一緒に自宅にいます。Zoomでの会議を次々とこなしています。カメラに映らない部分はパジャマ姿だったりもします。そんな状況において、オーディエンスに人とのつながりを実感させ、単なるミーティングではないのだと感じさせるためには、どうすればよいのか? 彼らのためのイベントなのだと感じてもらうには、何が必要なのか? オンライン開催を決めたあと、私たちはこれらを真剣に考えました。
そして、二つのアクションに落とし込みました。
1、チケットを有料にすることで、“価値”と“損失回避の心理”を生み出す
一つ目は、チケットを有料にしたことです。ほとんどのBtoB企業が、無料のオンラインイベントを開催するなかでは、少々奇妙に聞こえたことでしょう。ですが、これは非常に重要なポイントでした。
なぜならチケットを購入すると、購入者はそこに価値を感じるようになるためです。皆様も実感していると思いますが、値段のついていないものに価値を感じてもらうのは、非常に難しいのです。また有料にすることで損失回避の心理が生まれ、当日の参加率も高まると考えました。
また有料チケットは、あえて2種類作りました。29ドルのチケットと119ドルのチケットで、金額に応じて、オーディエンスの体験できる内容が変わるというものです。そして、29ドルは数量限定にしました。こうすることで、早く買わなければ高いチケットしか買えなくなることを訴求できますし、「今申し込まなければ機会を逃してしまう」と感じてもらいやすくなり、販売に勢いをつけることができます。
結果的に、当初立てていたチケット売上目標の2倍以上を達成することができました。またチケット購入者のうち2割弱は、こちらから働きかけることなく119ドルチケットへとアップグレードしてくれました。
2、デジタルシフトを思いっきり楽しむ
二つ目は、デジタルへのシフトはもう元には戻らないと覚悟を決め、この変化を楽しんだことです。バーチャル会場を用意し、参加者には自分で作ったアバターで自由にその空間を歩き回れるようにしたのもそのひとつです。
オンラインイベントを企画する際、私たちは過去のイベント参加者たちによる委員会を結成し、HubSpotのパートナー、顧客、業界内の人々などにも参加してもらいました。そして、イベントを作り上げる過程でフィードバックをもらいました。委員会からはネットワーキングの側面についてや、コンテンツに何が役立つか、何が有効かなど、たくさんのフィードバックをいただきました。
またINBOUND 2020をすべてオンラインに移行することになり、我々のチームが参考にしたのは他のBtoBイベントではありませんでした。お気に入りのテレビプロデューサーの作品を参考に、魅了されるストーリーをスクリーン越しに伝える方法を検討したのです。
たとえばブライアン(HubSpotのCEO/共同創業者)、ダーメッシュ(CTO/共同創業者)クリストファー(最高製品責任者)によるスポットライト(基調講演)は、ボストンらしい雰囲気をオーディエンスの自宅にお届けするべく、ボストン・レッドソックスの本拠地球場でもあるフェンウェイ・パークで撮影しました。
また今年は、HubSpot創業の地・ボストンらしさを、ログイン画面(下の画像)やHubSpotによる講演画面など、随所で打ち出しました。
YouTubeやInstagramなど競合相手が無限にいるなかで、コンテンツや議論、学び、インスピレーションに没入する時間を持つためには、こうした工夫を施し、その空間に没入してもらうことが重要だと考えたためです。
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