「好き」「欲しい」を起点に利用者が集まるInstagram
オンラインセミナー「House of Instagram」の最初に登場したのは、2020年1月にFacebook Japanの代表に就任した味澤氏。「コミュニティづくりを応援し、人と人がより身近になる世界を実現する」というFacebookのミッションに触れ、コロナ禍において、同社のファミリーアプリが人々のコミュニケーションや絆を維持するために使われてきたと説明した。
中でもInstagramは利用者数が急速に伸びており、非常に重要なマーケットのひとつである日本の動向は、グローバルでも注目されてきたという。
「アメリカ以外で唯一Instagramの開発チームがいるのが日本です。日本の利用者は、ただ美しい画像をシェアするだけでなく、主体的かつ積極的に興味のある情報を検索し、コミュニティとつながる場として活用しています」(味澤氏)
Instagramの強みは、利用者の「好き」「欲しい」という気持ちが起点のプラットフォームであることだ。利用者は好きなブランドや商品を見つけるためにアクセスし、Instagramは興味関心に基づき、パーソナライズされた情報を提供する。そのため企業やブランドは、生活者のアテンションとインタレストを同時に引き出すことができる。
実際にInstagramを日常的に活用している利用者は、自分の好きなハッシュタグをフォローしたり、虫眼鏡のアイコンで見ることができる「発見タブ」でおすすめされたブランドや商品を「ウィッシュリスト」に保存したりしているという。さらに、保存した投稿を見返して店頭へ出向いたり、商品を購入したりとアクションにつなげている利用者も多い。
「ここ数年、話題化を目的としたキャンペーンが多く実施されてきましたが、話題にはなっても、その先の行動を促し、売上につなげることができたケースは限られていました。『話題になっているから』ではなく、『好き』『欲しい』という主体的な気持ちが起点になってこそ、ブランドや商品と強いつながりが生まれるのではないでしょうか」(味澤氏)
世界平均と比べて検索は5倍!アクティブな日本の利用者
日本のInstagram利用者は特にアクティブで、他の国に比べて5倍多くハッシュタグ検索をしている。味澤氏はブランドにとって、Instagramがどのような価値をもつか、3つに分けて説明した。
1つ目は、喜びにつながる偶発的発見を創出できることだ。42%の利用者が、発見したブランドのことをより深く知るべく、プロフィールを訪れているという。
「過去の投稿をさかのぼって、自分の好みに合う世界観なのかチェックする利用者も多くいます。また、ブランドの投稿を保存して、後で見返しながら世界観を楽しむ行動も見られます」(味澤氏)
2つ目はコミュニティを通じて共感を醸成できること。インフルエンサーと手を組むことも有効だ。たとえば家計簿アプリ「マネーフォワード」は、暮らしの知恵を投稿する人気のインフルエンサーを起用し、手書きの家計簿と家計簿アプリを比較するなど、他の利用者に役立つ使い方を紹介。コミュニティを深く理解するクリエイターが、利用者が抱える悩みや日常の疑問を切り口に使い方を訴求することで、興味関心を高められる。
そして3つ目は多彩なクリエイティブツールでブランドストーリーを多面的に伝達できることだ。味澤氏はInstagramのビジュアルコミュニケーションについて、「直感的な表現でブランドの世界観を伝える、非常にパワフルなツール」と語る。また、ストーリーズ、IGTV、ライブ、ショッピングといったInstagramの機能を駆使し、多面的に訴求していくことが、ブランドストーリーを伝える成功の鍵だという。