ローカライズに必要なブランド理解と落とし込む力
――資生堂では、ロイヤルティプログラムの計画段階から電通デジタルに協力を依頼したとうかがいました。どのようなきっかけで同社への依頼に至ったのでしょうか。
五島:ニューヨークにある弊社全社のDXをつかさどるDigital Center of Excellenceにブランド全体のCRMの相談をしたところ、Loyalty Plusがロイヤルティプログラムのソリューションとして優れていることを知りました。
Merkle社は、Dentsu International(旧:電通イージスネットワーク)のグローバルネットワーク・ブランドの1つで、テクノロジーを活用したデータ分析に強みを持つデータマーケティング会社。Loyalty Plusはそのオリジナルプロダクトで、全世界的なラグジュアリー市場において豊富な実績がありました。
海外のプロダクトを使う不安感もありましたが、オウンドメディアの支援でお付き合いがある電通デジタルさんが導入の窓口になっていただけることと、プロダクト自体にアジアでの実績があったことで安心して取り組めました。
伊関:Merkle社には自社開発のシステムであるLoyalty Plusの運用実績が既にあることから、戦略策定のノウハウも強みとして持っています。そのため電通デジタルでは、グローバルに使用されているプログラムを日本にうまくローカライズすることに注力していました。
伊関:弊社は以前にも資生堂様のオウンドメディアを支援させていただいていたため、CPBのブランドアイデンティティや資生堂様が大切にされているお客様とのコミュニケーション、あるいは一般ユーザーの日本市場におけるパーセプションなどを熟知しています。
フロントエンドでデジタルでのお客様とのコミュニケーションや接点をどう見せていくかを強みにしているので、お客様のご意向、ブランドイメージをコミュニケーションにどう落とし込むかが腕の見せどころでした。
国内外での分担体制・密な調整でスムーズに
五島:Merkle社の高評価ポイントは、全世界に拠点があり戦略構築がグローバルな視点でできることです。米国の会社ですが、データサポートのチームが上海にあり、時差のない形できめ細かいサポートを受けられたのもありがたかった点です。
電通デジタルは、フロントエンドの開発力・運用力が高く、Webサイトとの連携においてシームレスな体制を構築できました。また、Merkle社を含む関係各社ともきめ細かいご調整をいただいき、グローバルスタンダードのプログラムをスムーズにローカライズできました。
――ロイヤルティプログラムの計画から実装までどのような段階があったのですか。
五島:大きく分けて3段階あり、戦略フェーズではMerkle社のストラテジーチームを中心とした体制による戦略策定と制度設計。構築フェーズではMerkle社がシステム実装、電通デジタルさんがフロント制作を担当。運用フェーズでは、電通デジタルさんには運用サポート、Merkle社にはシステム保守をしていただいています。