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広告インハウス化成功企業に聞く、組織作りの秘訣と気をつけるべきポイント

効果的なインハウスに欠かせない、共通言語を介した交流とは?

 次のトピックは「効果的なインハウス型広告運用を実現する組織作り」だ。まずはななしの組織体制が紹介された。ななしは役員以外のメンバーが肩書きを持たないフラットな組織で運営しており、熱量のあるメンバーが積極的に意見を出せる環境が整っている。入稿、配信設計、アロケーション、クリエイティブディレクションなどをすべて脇坂氏が行い、担当役員は予算決定と承認を行う。

 元々脇坂氏が1人で広告全般を担当しており、事実上のインハウス状態にはあったが、より業務へ専念するために改めてインハウス化を経営者に提案した。まずはパートナーを交えたミドルインハウスからトライし、デザイン担当や開発担当と話し合いを重ねながら完全内製のヘビーインハウスへと移行していった。

 「インハウス組織を立ち上げながら、経営陣との信頼関係がいかに重要か痛感しました。広告担当として『こうすべきだ』と伝えたほうが長期的に見て信頼関係が生まれやすく、成果にもつながりやすいからです」(脇坂氏)

 この経営陣との信頼関係に関して、清水氏も普段支援をする中で非常に大事にしているという。経営者自身もビジネスを伸ばすために日々活動しているが、見えている景色が違う。そのため現場の意見を経営者にもぶつけながら、広告運用に対する理解を得ていくことがインハウス化には欠かせないのだ。

 また、「経営陣とだけでなく現場でのコミュニケーションも大切」だと脇坂氏は語る。仕様やDBの構造もある程度理解し、開発担当者やデザイン担当者と共通言語を持つことでやりとりが円滑にすべきだという。

インハウス化に集中できる環境を

 田中氏は、インハウス型の組織運営にあたり最も重要なことを「兼務をなくすこと」だと述べた。

 「小さい組織の場合、広告運用をディレクションしている人が兼務によってどうしても片手間になってしまいがちです。兼務を完全に解消することは難しくても、チームのレベルアップに向けて解消する努力はしなければいけないと思います」(田中氏)

 加えて、田中氏は情報収集がしやすい仕組み作りも重要にしているという。インハウスチームは意識して情報を取り入れなければ井の中の蛙の状態に陥りやすい。そうすると知見や技術のアップデートで遅れを取ることになり、最新の手法も鑑みた課題解決ができなくなる。組織的に情報の収集と共有ができる習慣作りを考えることも必要不可欠になる。

 最後のトピックとして清水氏は「インハウス広告運用のパフォーマンスを上げるために行っている仕組み作り」について、組織と個人の両面で取り組んでいることを脇坂氏と田中氏に聞いた。すると、以下のようなコメントが返ってきた。

 「組織としては、経営陣の広告に対する理解を深めることです。具体的には外部の広告主が参加する情報交換の場に弊社の担当役員も参加してもらったり、ツールのレクチャーを定期的に行い、数字をリアルタイムで見てもらったりしています。個人としては、組織を横断したコミュニケーションのために朝活部を立ち上げ、そこで交わされるちょっとした雑談が業務にも効いている手応えを感じています」(脇坂氏)

 「企業の売上利益は広告の数字だけでなく、いろいろな利害が重なり合って生まれるものだと考えています。言い方を変えれば、広告運用の成果が出ない理由が広告以外の製品や営業の動きにあるケースも珍しくありません。『獲得したリードは1分以内に架電してほしい』など、こちらの働きかけが他部署や企業の数字につながるというマインドを持つべきだと思います」(田中氏)

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/01/25 09:00 https://markezine.jp/article/detail/35259

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