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スポーツ選手のインフルエンス力をビジネスに活かす秘策【平地氏×タグピク泉氏対談】

企業がスポーツ選手をインフルエンサーとして活用する可能性は?

平地:最後に2つの観点からインフルエンサーマーケティング×スポーツについて聞きたいと思います。1つは、一般企業がスポーツ選手をビジネスにインフルエンサーとして活用できる可能性はあるのかどうかを教えてください。

泉:活用できる可能性は十分にあると思います。重要なのは、インフルエンサーとして起用する選手のその対象領域への“関心度合い”と“熱狂度”だと思います。日本酒好きのスポーツ選手=中田英寿さんのような、第一想起されて名前がふと浮かぶ存在、特定の領域に特化した選手の方にお願いすることで広がるコミュニケーションを設計できる可能性があります。

 また、グローバルに商品・ブランドを展開していきたい企業にとっては、海外チームで活躍している選手経験を持つスポーツインフルエンサーなら起用するチャンスはあるはずです。

泉:つまり、フォロワー数だけではなく、「フォロワー数」×「その領域のコンテンツに対する選手の熱量」のかけ合わせが高ければ高いほど、企業やブランドのプロモーションとの相性がいいはずです。

 クラブ側も“個”の選手のインフルエンス力の最大化に向けて、各選手のSNS運用・コンテンツ制作を後押しする仕組みや投資を行い、選手個々の個性を引き出してあげられるといいですね。選手の総フォロワー数が多いチームのほうが集客やスポンサー営業にも有利に働くはずなので、そのようなSNS活用の司令塔となる戦略家が一人外部から派遣されてチーム内にいると、非常に良いのではないでしょうか。

影響力のある選手がいるかどうかが集客のカギに

平地:では、もう1つの観点として、スポーツチームがインフルエンサーを活用して試合の集客などに活用できる可能性はあるんでしょうか。現状芸能人が始球式などにゲストとして来るケースはあるものの、まだインフルエンサーマーケティングと呼べるような施策を行っているチームは少ない印象です。

泉:上述の通り、先ほど料理人を例に話をしましたが、それと同様に、たとえば満席になってない日にSNSを活用して選手が集客に貢献することもできると思います。たとえば、SNSで人気の選手はファンとSNSを通じて密につながっているわけですから、チケット販売のアナウンスを1ポストするだけで告知にも効いてくるはずです。

 また、外部のインフルエンサーを使う場合には、そのチームの「地域性」を活かせると上手くいく可能性も考えられます。たとえば、広島のチームが広島出身のアンバサダーを広告塔として公募したり、勧誘したりすると、東京で活躍している凄い知名度のある方であっても、地元にたまには貢献したいなという思いから応募してくれると思うんですよね。

 というのも、インフルエンサーの中には地元に関連したものであれば、通常の依頼金額が高い方でも、お世話になった街だからと金額に関係なく応援したいという気持ちが強い方がいるんですよ。さらに、そういったインフルエンサーのフォロワーにはその土地出身の方が付いていることも多いので、そのようなアンバサダーを立てて、チームを盛り上げるやり方も有効です。

平地:チーム自体のSNSの影響力をあげていくか、選手の個の影響力をあげていくべきか。どちらかといえば、選手のSNS上の影響力を高めて集客に活かしていくほうが確実そうですね……。

泉:その通りですね。組織(企業やチーム)よりも、コンテンツに偽りがなく温かみもあるので、“個”の影響力の方が強いです。サッカー選手とサッカーチームの関係って美容師と美容院の関係と似ていると思っています。美容師は昔からインフルエンサーマーケティングが実践できていました。カリスマ美容師と呼ばれる人が90年代からいましたが、元々個の強さが店の集客を左右していたので、そういった業界からも学べるところはあると思います。

平地:確かに、これからは選手自身がパーソナルブランディングをSNSなどで行う時代によりなっていくと思います。そこに対する支援を私たちやクラブ側から行っていく必要があるんだと、改めて感じることができました。

 一般企業も、スポーツ選手を単なる広告塔として起用するのではなく、自社のブランドや商品に熱量を持つ方と一緒にコミュニケーションを考えていけると良さそうです。泉さん、貴重なお話をありがとうございました。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2021/02/09 09:00 https://markezine.jp/article/detail/35379

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