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働き方に、もっと、自由を!「WHEREから始める」という新しい働き方

人生100年時代、「移住」はマルチステージを探索する一手段に 「関係人口」という新概念を捉える

まずは複数の地域と「関係人口」になってみよう

 読者の中ですぐに移住を考えてない人も、まずは、どこかの地域(複数で構いません)の関係人口になってみるのは、いろいろな意味で楽しく有意義だと思います。僕も今まで何か面倒で“ふるさと納税”もやっていませんでしたが、美瑛町を始め、壱岐市や御代田町でも“ふるさと納税”をやってみようと思っています。これも立派な「関係人口」行為ですね。

 「関係人口」は旅行以上、移住未満と言われる人々を指す比較的新しい概念であり、注目すべき重要なキーワードだと思いますが、まだまだ整備されていない感もぬぐえません。そもそも「関係人口」という言葉は、自治体側からの視点しか反映していません。「関係人口」に当たる人の側から、自治体を指す言葉は存在せず、少なくても一般化はしていません。

 たとえば僕が美瑛町の(あるいは壱岐市や御代田町の)関係人口と呼ばれるものになってみようと考えた時、僕から見た美瑛町や壱岐市や御代田町を指す言葉がないのです。「関係地域」とか「関係先地域」とかなんらかの言葉が必要だと思うのですが……。

 マーケティングの根本は“顧客視点”であり、言い換えれば“相手側の目線”です。ある地域の「関係人口」になろうと思う人が、どのようなきっかけでどのようなモチベーションでなろうとするのか? どのように「関係地域」を選ぶのかについて考察や知見を積み上げる必要があります。この分野の発信側には、この“相手側の目線”が現状では相当に欠けているように思えます。

 ついでに言うと、ある地域の「関係人口である人」を指す言葉もありません。移住に対する移住者に当たる言葉がないのです。このことは、関係人口という言葉が、いかに抽象的・概念的であるかを物語っています。「関係人口者」がいいのか「関係人口該当者」がいいのか、それとも他の案か。少なくても、なんらかの言葉が必要なことだけは確かなように感じます。

駅前の時計塔。緑色の三角屋根が可愛い

 さて、移住やお試し移住についての情報を得る方法に関しては前回もお伝えしたのですが、今回も2つご紹介します。ひとつは、「SMOUT」というサービスです。あの「面白法人カヤック」が運営するSMOUT移住研究所のウェブサイトは、とても充実していて大変に見やすいのでお勧めできます。

 また、登録をすると定期的に各地のおもしろそうな「移住体験イベント」の情報などがメールで送られて来て、「応募したい」までは行かない場合でも、「興味ある」といったボタンが用意されていて、簡単に担当者とつながれるようになっています。

 他にも、“移住サービス”等で検索すると複数のウェブサイトが掲示されるので、覗いてみて気に入りそうなサービスに登録してみると良いのではないでしょうか。

 また、もう1つ裏技的なことをご紹介すると、SNSで「最近移住に興味があって……」とか「移住した人の記事を読んだのだけど……」などと“移住”という言葉を含む投稿を数多くしてみることです。そうすると勝手に移住サービス関連の広告がたくさん掲示されます。

 無料のSNSサービスは広告が掲示されるのが当たり前だと思いますが、その広告を自分が興味のある“移住サービス”という分野に誘導できるのですから、やならい手はないと思います。ちなみに僕は、美瑛町滞在中、日々その感想を“プチ移住体験記”というワードとともにSNSに投稿していました。そうしたら、移住サービスの広告ばかり掲示されることに(笑)。その中で気になったものをクリックしてみれば、意外と欲しい情報に行き当たるのでは、と思います。

 3週間にわたった北海道・美瑛町でのプチ移住体験記、いかがだったでしょうか? これから移住者や関係人口の一員になることは、我々の重要な選択肢にますますなっていくことと思います。そのためのヒントに、今回の連載が少しでもなりますことを、切に願って……。

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この記事の著者

佐藤 達郎(サトウ タツロウ)

多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論/メディア論)。2004年カンヌ国際広告祭フィルム部門日本代表審査員。浦和高校→一橋大学→ADK→(青学MBA)→博報堂DYMP→2011年4月 より現職。
受賞歴は、カンヌ国際広告祭、アドフェスト、東京インタラクティブアドアワード、ACC賞など。審査員としても、多数参加。個人事務所コミュニケーション・ラボにて、執筆・講演・研修・企画・コンサルなども。また、小田急エージェンシーの外部アドバイザー、古河電池の社外取...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2021/04/08 08:00 https://markezine.jp/article/detail/35747

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