新規売上創出
もう一方の「新規売上創出」については、まだ導入したことのないマネタイズ手法を知り、挑戦をすることです。アプリマネタイズにおいてIDFAの使用有無に依存しない手法もあるため、それも含めてご紹介します。
IDFA使用を必要としないマネタイズ
・アプリ内課金の導入
まずは、アプリ内課金です。課金はIDFAに依存しないマネタイズ手法なので導入していないアプリは真っ先に検討すると良いでしょう。
課金にはポイント、コイン、チケットなど消費するものに対して課金を発生させる「消費型課金」と、機能追加や広告の非表示など、購入によりアプリ内で永続的に利用ができるものに課金を発生させる「非消費型課金」があります。
ソーシャルゲームやマンガアプリのように消費型課金のほうが、ユーザーに繰り返し課金をしてもらう要素があるため大きなビジネスにスケールがしやすいですが、サーバーの設立やアプリ自体の設計の見直しなどが発生する可能性が高いため、いきなりの導入は簡単ではありません。
アプリ開発者の中には、課金を導入してユーザーからお金をいただくことに抵抗を感じており、手離れが良い広告マネタイズを選んでいるという方もいるかもしれません。そのような場合は導入が比較的簡単な「非消費型課金」から検討するのが良いでしょう。
たとえば、「広告非表示」の課金は、広告売上から算出されるLTV(Life Time Value)を課金額が上回っている場合は、むしろ広告非表示を行ったほうが収益性は高く、ユーザーの体験も向上する可能性があります。考え方としては、無料で利用するユーザーには広告を掲載し、有料ユーザーには広告を見せないという「有料アプリ」の発想でサービスを展開できるようになります。「広告非表示」の課金額の相場は200〜300円程度が多く見られる価格帯となります。
・オファーウォール広告の導入
オファーウォール広告は、主要な広告主がVODのようなWebサービスやクレジットカード案件のような「非アプリ」であるため、IDFAを使用せずCookieを使ったコンバージョン計測が利用されています。ユーザーがオファーウォールに訪れ、気に入った商品があればオファーウォール経由でその商品購入(サービス利用等)を行い、そのタイミングで成果単価が発生する成果保証型広告です。IDFAの使用制限の影響を受けづらい広告フォーマットなので、自身のアプリがポイント制やコイン制を導入している場合は利用の検討をお勧めします。一部IDFAを使用するが、アプリ内で未着手の場合利用を検討したほうが良いマネタイズ
・動画広告の利用
動画広告はバナー静止画広告と比較して、2倍から高い場合は10倍以上広告単価が改善する場合があります。一般的なディスプレイ型の動画バナー広告だけでなく、アプリ広告では「動画リワード」という新しい広告フォーマットの利用実績が増えています。
これは、ユーザーにアプリ内で利用できる報酬(インセンティブ)を付与する代わりに、30秒程度のCM動画を視聴してもらう完全視聴型の広告フォーマットとなっており、前述した「広告非表示」にも応用できます。たとえば、「CM動画を30秒視聴したら、1日間バナー広告が非表示になる」等のインセンティブを付与するなど、ユーザーにもメリットがあることからポジティブな気持ちでCM動画を視聴してもらえることが期待できるため、広告単価が非常に高い傾向にあります。
ここまでご紹介したマネタイズ手法は一例ですが、以下のように複数を組み合わせることで多面的にマネタイズを行うことができ、ユーザーにとってもより自身に適したアプリの使用体験が可能となります。
(例)
基本的にはディスプレイ広告マネタイズ永続的に広告を消したい場合 → 課金
課金はしたくないが広告を消したい場合 → 動画リワード
従来の方法にとらわれず幅広くアプリマネタイズの方法を模索する
新型コロナウイルスの影響や個人情報保護強化の中でのターゲティング規制も含め、広告メディアを取り巻く外部環境は今後も大きく変化していくことが予想されます。
その中で、アプリマネタイズにおいては従来のプログラマティックな広告テクノロジーの利用だけではなく、純広告やアプリ内課金、サブスクリプションなど幅広いマネタイズ方法の可能性を視野に入れた上で、自社のアプリやユーザーにマッチした施策を実行していくことが重要です。
まずは自社アプリで改善すべきポイントを可視化し、素早いPDCAを回すことでアプリごとの最適解を見つけ、骨太なマネタイズ体制を作っていきましょう。
※1 iOS14に向けたAudience Networkの対応
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