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時事イベントに見るスポーツマーケティング入門

北島康介の世界新より気になる?オリンピック水着問題の真相


選手より協会優先? オフィシャル・サプライヤー契約とは

 ちなみに今回の代表31人中、先の日本選手権でスピード社の水着を着用したのは、男子800メートル継の松本 尚人(フリースタイル)と同100メートルバタの岸田 真幸 (アクラブ調布)の2人だけ。しかし、この2人も契約上、日本代表として泳ぐ場合は、 財団法人日本水泳連盟(以下、日本水連)が2017年3月まで水着着用のオフィシャル・サプライヤー契約を結んでいる「ミズノ」「デサント」「アシックス」3社のものしか着用できない。選手側からすれば「冗談じゃない!」「そんなの関係ない!」といいたいだろう(ところで、「そんなの関係ねぇ!」が、小島よしおがはいている水着はどこのだろうか?)。

 今年行われた世界選手権のためにマンチェスターに出かけた日本水連の古橋会長は、現地で英国のスピード社の会長と会っている。スピード社としては「公式」として採用して欲しい、と要望を出した。実はこの「公式契約」問題がまた面倒で、数年前まではスピードは公式ウェアだった。ただしその時はミズノが日本国内の販売元であったので、契約はミズノとの間で交わされた。ところが、その後ミズノはスピードとのライセンス契約を切った。自社ブランドだけで勝負すると決めたのだった。

 スピード社としては、ミズノと切れても水連とは切れたくない。当然「公式」となるための権利金は同額支払う意思を伝えたのだが、国内3社は実績をたてに水連に拒絶させたのだ。無論、「商品」としての実績は申し分ない。問題は会社としての契約実績なのである。そして、契約実績が「商品実績」に優先した、つまり「選手」より「協会」が優先されたわけだから、選手の心中は穏やかではあるまい。

水着問題の根本は公式ウェア問題にあり

 案の定、日本水連の副会長が5月5日、「ミズノ」「デサント」「アシックス」3社の実務担当者と都内で会談し、3社の同意があれば、日本水連とスピード社が新たに契約を結んでも、水連側に違約金が発生しないことを確認したそうだ。水連幹部は「選手の不安を取り除くため」に最低限の対応はしようとした。

 ところが、日本水連は7日、東京都内で常務理事会を開き、五輪で日本代表選手が使用する水着を契約するミズノ、デサント、アシックスの3社に対し、さらなる水着の改良を要望し、5月30日までに回答を求めることを決めた。日本代表監督の上野広治・競泳委員長(常務理事)は、今後の3社の改良状況しだいでは、スピード社などとの契約を求める可能性も示唆した

 うん? で、結局レーザーは着用できるのか? ああ、着用せずに「日本競泳陣が惨敗!」なんてことになったら、不買運動さえおきかねないだろうから、最終的には着用可、となるのではないだろうか。

 サッカーでは、チームがユニフォーム・スポンサーを決めるとそれを着てゲームをしなければならないが、スパイクは選手個々人に任せている。水泳は身につけるものが少ないから、スポンサーをつける場所も少ない。これも問題化する原因の1つだ。

 水着はサッカーでいえば、ユニフォームではなく、スパイクに当たるから、選手のパフォーマンスに影響を与えるものは選手の自主判断に委ねるべきだと思う。公式ウェアは、ガウンやジャージなど、ユニフォーム部分に限定すべきじゃないかな。

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この記事の著者

広瀬 一郎(ヒロセ イチロウ)

1980年株式会社電通に入社。ワールドカップをはじめ、サッカーを中心とした団体スポーツのイベントを多数プロデュースする。1994年に「2002年ワールドカップ招致委員会」事務局に出向、1999年にはJリーグ経営諮問委員会委員就任、2期4年を務めた。豊富な経験に、スポーツにビジネス・メソッドの活用を訴える先駆的視点を持ち合わせた、スポーツマーケティング分野の論客。著書は『スポーツ・マネジメント入門』『「Jリーグ」のマネジメント』(ともに東洋経済新聞社)など多数。2008年、多摩大学・大学院教授に就任。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2008/05/21 13:41 https://markezine.jp/article/detail/3588

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