EC企業のAmplitude事例が明らかに
続いて、講演の中ではAmplitudeを活用した事例の紹介が行われた。紹介されたEC企業では、商品をカートに追加した後のカゴ落ち(カートに入れた後に離脱すること)に課題を感じていた。
プロダクトによっては9割近い離脱率となっていたため、Amplitudeを用いてその原因を探ってみた。すると、カゴ落ちユーザーは3回前後、購買ユーザーは13回前後と商品のカート投入回数に大きな差異があることが判明。さらに13回以上と未満では購入率も4倍近く違ったことから、この企業では商品カート投入回数「13回」をマジックナンバーとし、施策を立案したという。
この事例に関して橋川氏は「Amplitudeを用いずとも、データサイエンティストであればこのマジックナンバーを導き出せたはず。しかし、分析官でないマーケターがこの数字を出せたことが、この事例の特徴的な点」とした。
さらに、ECサイトと実店舗を持つ企業の事例も橋川氏は紹介。この企業では、1人当たりの平均購入回数を増加させるため、ECのデータとPOSデータを連携してAmplitudeで分析。ECの中でも購入回数が2回以上と1回以下のユーザーにグルーピングしたところ、2回以上の購入者が「ECサイトのホーム画面で新着アイテムを見る回数が多い」ことがわかった。そして、この分析結果をもとにホーム画面で新着アイテムを見ていない人に対してプッシュ通知を送る取り組みを行った。
このように、行動データを軸としたグロースマーケティングに欠かせない分析を、Amplitudeでは行えるという。
分析結果を施策に活かすのも簡単に
最後に橋川氏は、実際にAmplitudeの画面を用いたデモンストレーションを実施した。Amplitudeのホーム画面には「イベント」「ユーザー」「チャート」の3要素がある。
まず「イベント」は、各ユーザーの行動に関するデータを見ることができる。次に「ユーザー」は属性軸はもちろん、行動軸でユーザーを指定することが可能になっている。たとえば、音楽配信サービスで「楽曲を購入した人」など、行動軸でユーザーを区切った分析も行えるのだ。そして「チャート」では「イベント」や「ユーザー」で設定した要素をわかりやすく視覚化してくれる。
分析した後のデータを施策に活かす際も、SalesforceをはじめとしたAmplitudeとのプラグインで接続できるツールはAmplitude上ですぐにデータ連携することができる。また、対応していないツールに関しても、CSVでダウンロードして施策に活かすことが可能だ。
この他にも様々な機能を紹介した橋川氏は、最後にAmplitudeが実現してくれること・そしてロケーションバリューが提供する価値について語り、セッションを締めくくった。
「Amplitudeを活用することで、データに基づいたOODAループ(Observe、Orient、Deside、Action)を高速に回すことが実現できます。特に分析による状況理解・判断に時間がかかってしまう企業が多いので、ここを素早く行うことをおすすめします。そして、ロケーションバリューはAmplitudeでの分析はもちろん、データをためる、整える、つかう部分を様々なツールと人材でサポートしますので、データ周りで課題を感じている方はぜひご相談ください」(橋川氏)