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店頭販促もデータドリブンでPDCAが回せる!コニカミノルタに聞く、これからの販促の形

 リアル店舗のデジタルトランスフォーメーションが進む中、未だアナログな部分が多く残っている店頭販促。勘と経験を頼りに行われてきた領域だが、最新技術を活用することでデータドリブンにPDCAが回せるようになっているという。本記事では、コニカミノルタでショッパー行動解析サービス「Go Insight」の責任者を務める清水氏に、現在の店頭販促における課題、またそれに対する対応策、事例について話を聞いた。

店頭販促が抱える大きな課題

MarkeZine編集部(以下、MZ):御社と言えば、複合機をはじめとしたビジネスソリューション事業のイメージが強いのですが、なぜショッパー行動解析サービス「Go Insight」の提供を始められたのでしょうか。

清水:Go Insightは、コニカミノルタとして積極的に進めている新規ビジネスの創出とデジタルトランスフォーメーションの融合として生まれた新規サービスになります。グローバル企業様に対してマーケティングプロダクションの効果的なマネジメントをコンサルティングするビジネスを2012年から新規事業として始めていました。

 あるお客様が販促物の効果測定に頭を悩ましており、その解決方法として、ヘルスケア領域で介護患者様をAIカメラで見守るサービスを組み合わせてみたら、ということで一緒に取り組んだのが始まりになります。

コニカミノルタ株式会社 マーケティングサービス事業部 事業開発部 コンサルティンググループ
第2チームリーダー 兼 Go Insight エバンジェリスト 清水 隆史氏

 当時も今も、メーカー様は毎回沢山の費用をかけて店頭キャンペーンを行いますが、「店頭の販促物が購買にどれだけ寄与しているのか」という明確な根拠がありません。

 実は訪問から閲覧、比較、選択、購入まで、ECとリアル店舗における購買の大きな流れは共通しています。しかし、その中で得られているデータに着目すると、ECは、ECサイトへの訪問回数や商品の閲覧回数、カートへの投入回数など購買以外の情報が取得できている一方、リアル店舗ではID-POSデータなどの購入に関わるデータしか収集できていないのが現状です。

清水:そのため、リアル店舗において販促がどれだけ購買に寄与しているのかは、まったく把握できていないのです。この疑問を解消するとともに、メーカー様や小売企業様の店頭販促における課題解決策として、「Go Insight」を開発するに至りました。

コストと効果検証にも課題あり

MZ:ちなみに、データが蓄積できていないこと以外に、リアル店舗における店頭販促の課題はありますか。

清水:コストと効果検証に関する課題があります。コストに関しては、販促物を制作するコストはもちろん、設置した販促物をきれいな状態に保つためのメンテナンスコスト、さらにきちんと販促物が置かれているかをラウンダーと呼ばれる方がチェックする人的コスト。これらのコストが大きなメーカー様だと全国規模になるので、非常に大きな課題となっています。

 また、効果検証に関しては、先述のようにリアル店舗での購入以外のデータはほとんど得られていません。そのため作った販促物を効果検証してPDCAを回していくことができていないことが課題として挙げられます。

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Go Insightがもたらす、新しい販促の形

MZ:では、Go Insightがどのようなサービスかを教えてください。

清水:Go Insightは、ID-POSデータだけでは分析しきれないあらゆる情報を視覚化することができるサービスです。ID-POSデータの場合、購入者のデータしか得られないため、売り場に立ち寄った人がどのような人かを把握するのは難しいです。さらに、売り場での競合商品は何か、計画購買か非計画購買か、そして販促物を置いたことで購買効果があったのか。これらの情報をGo Insightであれば一挙に収集することができます。

 具体的には、売り場に天井カメラを設置し、その映像を我々のAI姿勢解析技術で解析します。これにより、ショッパーの年代や性別といった属性情報、売り場の滞在人数・時間などの滞在情報、商品接触回数や接触商品名といった棚前行動情報をデータ化します。

MZ:天井からでも正確に計測できるものなんですね。

清水:Go Insightは2018年に提供を開始しましたが、アノテーション作業を目視で行うことにより高い精度を実現できました。そのため、商品の裏面を確認しているかどうかや棚前サイネージを見ているかどうかといったデータもアディショナルに取得することが可能です。

MZ:解析したデータは、どのように活用できるのでしょうか。

清水:我々から調査レポートを提出して今後の店頭販促の改善提案などをさせていただいています。クライアント様自身がダッシュボード上でデータを閲覧したり、解析したりするケースもあります。

 また、属性・滞在・棚前行動情報が収集できるため、コンバージョン分析や接触・購入商品の分析、競合商品分析などを通じて、様々なKPIで検証することができます。

MZ:これだけ多彩な情報が取得できて、かつ分析方法も様々だと使い方に悩みますね。

清水:我々は調査企画の立案から店舗の調整、機材設置・データ取得、店頭販促支援、データ分析報告、フィードバックまで効果検証におけるすべてのプロセスを支援できます。データを提供するだけでなく、そのデータの見方と使い方を支援できるのが強みだと考えています。

店頭販促のA/Bテストが可能に

MZ:実際に導入している企業では、どのような活用が進んでいるのか教えてください。

清水:たとえば、大手国内飲料メーカー様では、店頭販促物の効果検証にGo Insightを活用いただいています。店頭販促物の効果が定量的に計測できておらず、費用対効果がわからないという課題に対し、店頭販促物設置前後のA/B分析を実施しました。

 その結果、立ち寄り回数は6.7%向上し、エリア滞在時間の平均も4.6秒増加しました。このように定量的な効果が明らかになったことで、流通様に対して納得感のある提案ができるようになり、良好な関係を築くことができました。

 また、大手国内食品メーカー様では、定番・催事・レジ横など各売り場での販促効果を定量化するため、Go Insightを導入いただきました。

 これまで、JANコードが同一であるため、POSデータ上ではどの売り場で商品が売れているのかは正確に把握することができませんでした。しかし、Go Insightを活用して各売り場に天井カメラを設置したところ、エンドサイド(通路沿いの棚の横)の什器展開が最も効果的な売り場であることがわかったのです。これにより、売り場展開を含めた販促施策の社内リソースの効率的な配分が可能になりました。

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コロナ禍で販促の常識は覆された

MZ:スーパーなどだと様々なところに同じ商品が展開されているので、どこで売れているか把握できるのは非常にありがたいですね。

清水:新型コロナウイルスの影響で、販促における常識みたいなものが、覆されつつあると考えています。以前よりもまとめ買いをする方が増えたり、キャッシュレス対応によって決済手段の確認が必要になったりと、レジの対応時間が増えています。また、間隔を開けて並ぶ必要があるため、以前よりもレジ前やレジ横の商品が目に留まりやすくなっているんです。

 これまではスーパーなどだと電池が置かれているケースが多かったレジ前の棚ですが、今では食品が置かれるケースも増えました。このように販促の形を変えていく上での検証をGo Insightで行っていきたいというニーズは増えています。

MZ:もし、他の活用事例があれば教えてください。

清水:大手国内医薬品メーカー様の事例では、競合商品の検討に活用いただきました。売り場に立ち止まった人をツリー構造で分解していき、対象の商品に非接触だった人がどの競合商品を手に取ったか・買ったかを分析していきました。これにより、自社商品にとっての本当の競合商品を割り出すことに成功し、競合商品から差別化するための販促物の作成に着手することができました。

リアル店舗でもECと同じ感覚でPDCAが回せるように

MZ:最後に今後の展望を教えてください。

清水:ECと同じ感覚でリアル店舗の分析を可能にし、販促に関わる方がもっと楽しく仕事のできる世界を作っていきたいと考えています。また、Go Insightの提供を通じて、消費者の方もハッピーにできると考えています。Go Insightはコンセプトとして「すべてはショッパーの笑顔のために」を掲げています。今後も様々なメーカー様や小売店舗様での導入を進めていき、店頭販促がデータドリブンで行われるよう、支援していきたいです。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2021/05/07 11:00 https://markezine.jp/article/detail/36186