メディアの対応:Cookie以外に新たな検討事項も
高橋:一方メディア側はいかがですか。グローバルではIDソリューションの連合にジョインしていく動きが見られますが、日本の皆さんはどういった課題を持っているのでしょうか。
和田:「リタゲが使えなくなると収益が下がることはわかっているのですが、どうしたらいいでしょう」「何か補える仕組みはありますか」と、様々なご相談をいただいております。メディア様が置かれている状況として、サードパーティCookieの規制などの広告収益に関わることだけでなく、直近ですとGoogleのコアウェブバイタル(Core Web Vitals)をはじめとしたSEOに関わる指標の変更にともなう新たな対策など、同時に複数の課題を抱えています。
このような状況で明確な解決策があれば話は別なのですが、未だ不透明な部分も多くあることから、社内外問わず有用な情報や解決策を求めていらっしゃるように思います。これらの課題すべてを扱うことができる人材はなかなかいないともうかがっており、業界全体の課題となっているようです。
高橋:グローバルも含め様々なテクノロジーが出てきていますが、それを日本のメディアビジネスの現場でどのように活かすか、まだ最適解が見つかっていないのかもしれないですね。
和田:そうですね。当たり前のことではありますが、我々のようなアドテクベンダーは、ツールの提供のみならずメディア様の課題解決をサポートしていく必要があると考えています。特にサードパーティCookieの規制に関連する動きはここ最近活発化しており、これから多くのソリューションが登場してくると予想しています。また、当社としても、今回ご紹介した文脈解析によるCookieレスのソリューションだけではなく、新たなプロダクトも提供する予定です。
もう一つ注目すべき動きとしては、メディアの新たなマネタイズとしてコンテンツ課金への取り組みが増えています。当社では2020年12月よりダイレクト課金サービス「codoc」との連携を開始しているのですが(プレスリリース)、以前まではお声掛けをしてもいろいろな理由があって実現できないケースもありました。しかしながら、最近は「コンテンツ課金をやりましょう」と決断されるお客様も増えており、新たなマネタイズ手段を本格的に検討しているフェーズなのではないかと感じています。
アドテク企業からマーテク企業として、フルファネルでの価値提供を目指す
高橋:では最後に、御社の今後について、ビジネスとしての展望、ポストCookie対応の展望をお聞かせいただければと思います。
和田:これまで当社は「LOGLY lift」を中心に広告事業を展開してきましたが、今後もポストCookie時代を見据え、文脈解析技術をさらに強化したCookieレスによる広告サービスのアップデートをしていきます。
また、広告以外においても既に開始しているDMP事業やコンテンツ課金事業など、メディア様と広告主にとっての課題解決となるプロダクトを多面的に展開していきたいと思います。
高橋:今日はありがとうございました。