拡大中の「LINEミニアプリ」 サービスプラットフォームという次のステージへ
――最近では、LINE上で様々なサービスを提供できるウェブアプリケーション「LINEミニアプリ」の提供など、広告や販売促進にとどまらないサービス展開もされています。
谷口:8,800万人が常時ログインしているアプリケーションという特徴があるので、大きな可能性があると考えています。我々が現在目指しているのは、広告配信のプラットフォームという枠を超えた、サービス利用まですべてをワンストップで完結できるサービスプラットフォームという立ち位置です。
ネイティブアプリを中心に展開されている企業がまだまだ多いというのが現状ですが、ユーザーにとっても企業にとってもアプリのダウンロードはハードルが高いと感じています。「LINEミニアプリ」が普及し、ユーザーがアプリのダウンロードや会員登録をすることなく店舗で多様なウェブサービスを気軽に使えるようになれば、ユーザー行動のデジタル化が進むと共にユーザーの生活は便利になり、また企業は蓄積されていくデータをマーケティングに利活用できるようになります。
最近増えているのは、飲食店での店内モバイルオーダーサービスの提供です。お店の各テーブルにあるQRコードを読み取ると注文画面が立ち上がり、ユーザーは店員を呼ぶことなく簡単に注文ができるというサービスで、アプリのダウンロードも会員登録も一切なく、すぐにサービスを使うことができます。
飲食店側としては、人件費の削減などに加え、LINEミニアプリを立ち上げるタイミングでLINE公式アカウントの友だち追加への導線があるため、来店したお客様とLINE公式アカウントでつながることができるという利点もあります。お店での注文データをもとに、後日テイクアウトやデリバリーのおすすめメニューをメッセージで配信するといった形で、マーケティングに活用することができます。

ベンチマークは中国のWeChatオフラインのDX推進に向けて
――「LINEミニアプリ」は、オフラインのDXを目的に活用されている企業が多いのでしょうか。
谷口:そうですね。ユーザー行動がオンラインで完結するビジネスに比べ、実店舗が関連するビジネスの方が現状の課題感が大きく、積極的にご活用いただいています。やはりユーザーの購買行動の大半がオフラインで行われているのが現状で、実店舗でのユーザー行動や購買行動をデータ化できれば、その後のマーケティングの最適化に大きく寄与してくるはずです。LINEの強みを活かしたオフラインのDXの推進は、かなり注力しているところです。 中国のWeChatがこの領域で上手くサービスを展開していますので、参考にしています。
高木:LINEで多様なサービスを提供できているのは、テクノロジーの部分で共創してくださっているパートナー企業がいるからです。LINE公式アカウントやLINEミニアプリでのサービス提供をよりクイックに、より低コストで対応していくためには、パートナー企業とのエコシステムの構築が今後さらに重要になってくると思います。
パートナー企業と二人三脚でサービスを一緒に作っていくという姿勢や過程を大切にしながら、LINE側で一元的にマネジメントしていける体制を強化していきます。
谷口:今、多くの企業がDXやOMOの推進に取り組まれていると思います。ここでLINEが貢献できるのは、ユーザーがデジタルサービスを利用する中で感じている不便なところを徹底的に取り除いていくことです。オフライン・オンラインの様々なサービスをデジタル化してLINEで提供することで、結果的にLINEをマーケティングプラットフォームとしてより使いやすい場所にしていきたいと思っています。