2.検索エンジンとしての影響力が拡大
2021年下半期のInstagramにおけるキーワードとして次に押さえておきたいのが、「検索利便性」だ。というのも、Instagramでの検索を促すアップデートがこれから盛んになってくると予想されるためだ。
これまでのInstagramは、精密なアルゴリズムによって生成された「おすすめの投稿」を閲覧させる、「受け身型」のSNSだった。しかし、近年ではアカウントの乱立が急激に進んでおり、それにともなう類似コンテンツの量産によって、ユーザーには飽きが見られるようになってきているのだ。
ここでもう一度、Instagramの熱量を維持させるために、主体的な検索を促す検索プラットフォームとしてのアップデートが再熱すると予測する。Instagramが受け身型SNSになってしまったとはいえ、日本のユーザーは海外のユーザーに比べハッシュタグ検索が5倍多いと言われている(出典はこちら)。
現に海外ではサジェスト機能と呼ばれる、Web検索のように検索時にキーワード候補が表示される機能が試験的に導入されている。この機能が実装された場合、まず開発者がローンチさせる国は、ハッシュタグ検索の利用数の多い日本であることも考えられる。
実際にリリースされた機能で言えば、地図検索機能の登場からも検索利便性の向上がうかがえる。Google MapのInstagram版と言えるこの機能により、従来店舗名検索しかできなかったのが、現在地に最も近いスポットをInstagram上で画像表示できるようになった。

たとえば、現在地の代官山でカフェを探したい時、Instagram特有の画像の多さで店の雰囲気や価格帯まで一気に検索することができる。特に若年層の場合、飲食店や美容院の検索はInstagramの画像を見て検索から予約まで一貫してアプリ内で完結するユーザーが多い。
企業は今後、そんな若年層がInstagram内で検索した際の、受け皿を整えておくことが得策だろう。
3.コンテンツに対する本物志向~「誰かのおすすめ」から「専門家のアドバイス」へ
先ほど少し言及したように、最近のInstagramはコンテンツの乱立や量産が発生している。最近であれば、Instagramの雑誌化のように、情報を雑誌のようにキュレーション・デザインされた見やすいものがユーザーにも好まれるようになってくるなど、どのアカウントもいかにコンテンツを埋もれないようにするか、といったポイントでしのぎを削っているのだ。
しかし、依然としてInstagram上のコンテンツは大量にあり、情報発信を担う個人インフルエンサーの台頭が進んだからこそ、中にはサクラインフルエンサーによる偽のPR投稿や、SNSにおけるPRルールが守られていない、ステルスマーケティング(無償提供されている商材を、PRの旨を明記せずSNSでおすすめする手法)などの不誠実な投稿の増加も顕著になってきている現状がある。
それにともない、Instagram上の情報に対するユーザーのリテラシーが上昇している。
「このインフルエンサーの投稿はステマではないか?」「案件投稿ではないか?」「この写真は詐欺ではないか?」など、不誠実な投稿が増えているからこそ、投稿そのものに対するチェックが厳しくなっているのをますます感じる。
だからこそ、今後の風潮としてプロや専門家による正しい情報のニーズがより高まってくると予測する。コンテンツの本物志向にともない、企業が発信する公式アカウントからの情報が信頼される時代になってくることも考えられる。

公式アカウントが発信する内容は、もはや商品の広告や新作紹介にとどまらない。ギフトやバッグの中身といった、よりユーザーの日常に踏み込んだ情報のキュレーションが求められるだろう。この点で言えば、SNSではブランドアカウントの「メディア化」が進んできていると言える。
Instagramにおいて一定のアカウントだけが持つことが許される公式マークが持つ影響力や信頼性が、今まで以上に高まってくることも想像に難くない。