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リゾームマーケティングの時代

クオンタム思考へのいざない 大谷翔平とスティーブ・ジョブズの共通項

あらゆるものを疑い、ゼロベースで考えなおす「クオンタム思考」

 Google在籍時代の上司だった村上憲郎氏(元Google米国本社副社長 兼 Google日本法人代表取締役)は、ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンに初めてあったときのことを回想して、彼らの思考を「クオンタム思考」と名付けている。

 ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンもユダヤ系だが、「あらゆるものを疑い、ゼロベースで考え直す。実はこの発想こそが、ユダヤ人がビジネスで成功する理由の1つになっている」と解釈することもできるだろう(参照:世界を制覇! ユダヤ人経営者の知恵の絞り方)。

 王貞治氏の一本足打法も大谷翔平選手の二刀流も、当時においては、常人では思いつかないようなアイデアだった。自分にとって何がいいのか。それをゼロベースで考える。その結果、自分が正しいと思ったこと、良いと思ったことを、実現していく。その原動力も、瞑想やマインドフルな精神状態から生まれる。

 それは、心を空にする、あるいは、無にするから可能になる。空にして無になって(ゼロになって)、先入観や固定観念に囚われることなく、主体が客体に関心を集め続けてやめない。自由意志の働きで精神が集中し、ミエリンが増強されていく。

 レディ・ガガやミランダ・カーのメンターで、ビル・クリントン元アメリカ大統領やミハイル・ゴルバチョフ元ソビエト連邦大統領にも影響を与えたといわれる、医学博士で総合医療の第一人者のディーパック・チョプラ氏は、「self-referral(自己志向)」の重要性を指摘している。彼は、数々の瞑想に関する本を著し、量子力学や医学的根拠も交えて、その効果について語っている。

 「That’s the essential difference between object-referral and self-referral. In self-referral, you experience your true being, which is unfearful of any challenge, has respect for all people, and feels beneath no one. Self-power is therefore true power.」

出典:『The Seven Spiritual Laws of Success: A Practical Guide to the Fulfillment of Your Dreams』Deepak Chopra 著

 (それが対象志向と自己志向の本質的な違いである。自己志向な状態でいると、あなたは本当の自分を経験することになる。つまり、あなたはいかなるチャレンジも恐れないし、すべての人をリスペクトし同時に誰にも劣っていないと感じる。だからこそ、その自己志向的なパワーは、本物の力になる。)

 ちなみに、自己志向の反対が「対象志向」(object-referral)だ。対象志向は、他人の評価(外側の対象)を気にして社会的な仮面を演じるような自分だ。多くの人は、私も含めて、社会的な仮面を演じて生きているのが普通ではないか。

 そうではなくて、瞑想でマインドフルな状態を意図的に作り、「self-referral(自己志向)」な考え方を取り入れていく。それが、周囲の目を気にすることなく、潜在的な力を発揮するコツのようだ。

 大谷翔平選手は、「self-referral(自己志向)」で、自分の力を信じているはずだ。それは、次の言葉で明白だ。

 「自分がどこまで出来るか ということに関しては 制限はいりません」

 (『不可能を可能にする 大谷翔平120の思考』大谷翔平 著)

 自分の力を信じて、どこまでもいける。その感覚が超一流を生むのだと思う。そういえば、スティーブ・ジョブズも、あのスタンフォード大学の伝説のスピーチで、「自分の内なる声、自分のハートと直感に従うのだ!」と言っていた。

 「Your time is limited, so don’t waste it living someone else’s life. Don’t be trapped by dogma — which is living with the results of other people’s thinking. Don’t let the noise of others’ opinions drown out your own inner voice. And most important, have the courage to follow your heart and intuition.」

出典「'You've got to find what you love,' Jobs says

 (あなたの時間は限られている。だから、他人の人生を生きるような無駄なことはやめるべきだ。ドグマ(社会的な定説)に囚われるな。それは、結果的に他人の考えを生きることになる。他人の意見のノイズで自分の内なる声をかき消してはならない。そして、最も重要なことは、自分のハートと直感に従う勇気を持つことだ)

 代表作『どん底』で有名なロシアの社会主義リアリズム作家、マクシム・ゴーリキーは、天才の才能の本質を、以下のように表現した。

「才能とは、自分自身を、自分の力を信じることだ」(参照:マクシム・ゴーリキーの名言

 結局は、これが、瞑想やマインドフルネスで得られる最大の効果ではないか。その結果として、村上憲郎氏のいう「クオンタム思考」に辿り着く。それが私の直感だ。

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/08/16 09:00 https://markezine.jp/article/detail/36927

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