購買行動に貢献した割合が最も高いクリエイティブ
本連載では、大企業からグローバル企業まで、400社以上のマーケティングにおける動画活用を支援してきたリチカのノウハウを基に、「成果の出る動画広告」の作り方を解説します。
初回となる今回は、具体的な動画広告のトピックに入る前に、「Cookieレス時代に考えるべきクリエイティブ戦略」についてお話します。
いまやデジタル広告は、多くの企業でマーケティングの中心施策に据えられています。資生堂が2020年第2四半期の業績発表において、「2023年までに広告媒体費の90%以上をデジタルにシフトする」と表明したのは、象徴的な出来事でした(出典:資生堂「2020年 第2四半期/上期実績(1-6月)および通期見通し」)。
かつてテレビCMをマーケティング戦略の中心に据えていた大企業のほとんどでも、デジタルマーケティングやデジタル広告の取り組みは加速しています。こうした背景から、「デジタル広告でいかに成果を上げるか」は、今後も多くの企業・マーケターにとって重要なテーマとなってくるでしょう。
では、デジタル広告で成果を上げるために、どのような要素が必要なのでしょうか。1つ、興味深いデータを紹介します。ニールセンが発表した「デジタル広告において購買行動に貢献した要素とその割合」を示すデータです。
デジタル広告において購買行動に貢献した割合が最も大きい要素は「クリエイティブ」で、その貢献度は47%でした。「リーチ(22%)」「ブランド(15%)」「ターゲティング(9%)」を大きく引き離し、最も重要な要素と言えます(出典:Nielsen「WHEN IT COMES TO ADVERTISING EFFECTIVENESS, WHAT IS KEY?」)。
プライバシー保護強化で制限されるターゲティング
近年、デジタル広告を取り巻く環境は大きく変化しています。変化へ対応するにあたり、マーケターが特に考えておくべき2つの環境変化について、説明していきましょう。
1つ目が、顧客接点の多様化です。特に、コネクテッドテレビや音声メディア、エレベーター広告など、新たなタッチポイントの出現はマーケティングにおいて無視できない変化です。「いつ」「どのタッチポイントで」「誰に」「何を」「なぜ」「どのように」情報を届けるのか。マーケターは「5W1H」を細かく考える必要があります。
2つ目が、プライバシー保護強化の潮流です。近年、デジタル広告においてプライバシー保護強化の動きが急速に高まっています。その代表的な動きとして挙げられるのが、サードパーティーCookieの利用制限です。
スマートフォンでアプリのトラッキングを制限する機能の導入も、デジタル広告の取り組み方へ既に大きな変化を与えています。これらのプライバシー保護強化の潮流は刻一刻と変化しますが、従来型のターゲティングで成果に差を生むことが次第に難しくなっていくことは間違いないでしょう。