コンバージョンに至る途中経過の分析が運用改善のポイント
——LINE広告の具体的な活用について教えていただけますか。
飯田:入札は基本的にすべて自動入札で行っているため、我々はクリエイティブの制作や検証に集中できています。
配信には主に「類似配信」を活用しています。LINEは他媒体と比較してもユーザー数が多いため、類似条件をある程度絞ってもオーディエンスの母数を担保しやすく、我々のターゲット層にもリーチする精度が高い点で優れています。
——御社で蓄積された顧客データを用いて、類似配信を活用されているのですか?
飯田:いえ、社内での対応が難しい部分があり、現状は自社データの外部活用をしていません。そのため、LINE Tagを用いて商品を購入したユーザーのオーディエンスデータを作成し、それに類似するユーザーに広告を配信しています。
多くの媒体では、広告のクリックからコンバージョンまでの経過を、1ヵ所しか追えません。その点、LINE広告の場合はいくつもLINE Tagを発行できるため、購入に至るまでの細かい途中経過を段階的に追うことが可能です。
たとえば、同じデザインに異なるテキストを載せた、複数のバナーを用意して配信したとします。
タグが複数設定できれば、たとえ購入されなくても「バナーAはCTR自体が低い」「バナーBは遷移後のLPから購入フォームへの流入数が減少した」「バナーCは購入フォームまで到達したユーザーが多かった」など、それぞれに異なる改善ポイントが見つかります。そのため、クリエイティブやLPの良し悪しについて精査がしやすく、次につなげやすい点がメリットです。
——御社の広告から購入までの基本的な導線としては、バナーからLPへ遷移して、その後商品ページで注文、という流れでしょうか。
飯田:そうですね。初めて広告で接触したユーザーに対しては、記事形式で商品を紹介するLPに遷移するように設計しています。既に商品サイトを閲覧したことがあるユーザーへリターゲティングする場合は、新規ユーザーとは異なるアンケートページに遷移させています。
化粧品は競合が多い業界です。そのなかから当社の製品を購入していただくには、その特長や、他社製品との違いについてしっかりと訴求する必要があります。そのため、広告からいきなり購入ページへ遷移させるのではなく、記事やアンケートに遷移させて製品の内容に触れていただくことで、当社製品への理解を深めていただきたいと考えています。
ブランドの世界観を崩さずに訴求力を高める
——クリエイティブを制作する上での工夫やポイントについてお教えいただけますか。
小山:LINEに限らずどの媒体にも共通しますが、媒体特性は常に意識しています。具体的には、媒体のデザインや色との相性、視認性などです。
ユーザーの年齢層なども関係するため一概には言えませんが、LINE広告の場合は、昔ながらの通販にありがちな派手なデザインを用いてお得感を醸成するよりも、キレイめでLINEのUIに馴染むデザインのクリエイティブのほうが、効果が出やすい傾向があります。
——実際に成果の出たバナーにはどんなものがありますか。
飯田:出稿して初めに反応が良かったのは、女性芸能人を起用したバナーの中のひとつでした。インハウスでの運用を始めて3ヵ月目、まだどの媒体でも成果が上がっていない状況でしたが、芸能人を起用したバナーをLINE広告で配信すると、特定のバナーだけCTRが急に上昇したのです。
バナーに合わせてテキストや遷移先のLPも「芸能人〇〇が使っている商品を詳しく調べてみた」など、一貫性のある訴求に変更すると、コンバージョン数も増加しました。このときの成功例を、他媒体でも展開していきました。
最近では、LINEのトーク一覧の最上部にある配信面「トークリスト」に合わせて作成した、シンプルな文字を軸にしたバナーでも成果が出ています。
小山:文字のみで訴求したバナーでも、LINE広告の場合は「背景色は黄色より白がいい」「文字は青よりも紫が良い」など、少しの違いで反応が大きく変わります。クリエイティブの細かい変更と検証を繰り返し、ブランドの世界観を崩さないまま、いかにそれぞれの媒体のなかで訴求力を高めるかを試行錯誤しています。