顧客エンゲージメントの向上やCookieレス対応にも有効なCDP
1つ目は「事業部やシステムを横断して分析したい時」だ。売上向上のための新たな打ち手を考えたい、手動で行っているレポート作成を効率化したいなどの課題に対しては、CDPが実現する基幹システムと各種分析ツールとの統合が有効になる。
2つ目のタイミングが「顧客エンゲージを高めたい時」だ。複数のチャネルで顧客にコミュニケーションを行っている場合、そのコミュニケーションが一方的なものであれば顧客体験を損ねている可能性もある。そこでCDPを導入すると、各コミュニケーションチャネルのデータが統合でき、顧客目線でシナリオを分類できるようになるという。
3つ目は「プロモーションの効果を分析したい時」だ。たとえば、オンラインとオフラインをまたいだ広告の評価を行いたい企業や、ポストCookie時代に向けた取り組みを行いたい企業がCDPを導入するケースが多いという。なぜなら、広告配信結果の収集や、その結果を出稿媒体に紐付ける際にCDPが有効であるからだと小木曽氏は述べている。
CDPを導入する前の土台作りや、適切な導入タイミングについて語ってきた小木曽氏。では、導入すべきCDPには具体的にどのような機能が求められるのだろうか? 小木曽氏は同社のCDP、INTEGRAL-COREの特徴となる機能を解説した。
小木曽氏によると、同ツールの最大の特徴は「シングルカスタマービュー(SCV)」にあるという。SCVとは、複数のデータソースに点在する顧客情報を統合し、1人の顧客として管理するための機能だ。SCVで統合した顧客情報を基に、管理画面上でセグメントを作成してマーケティングツールに連携したり、BIに連携して可視化したりできる。
EVERRISEはCDP導入時の技術的な支援に強みを持つ
また、INTEGRAL-COREでは顧客に関するデータを管理画面からノーコードで統合可能。「データの状態によってはSQLを書く必要もある」と小木曽氏は補足するが、定期的な処理として実行できるよう機能を提供している。
「データ加工の自由度を高く設計しているため、各企業の目的に応じたデータ活用が実現できます」(小木曽氏)
小木曽氏はほかにも、提供プランの柔軟性に言及。INTEGRAL-COREはSaaS版と専用環境の2プランを用意しているため、セキュリティ上SaaS環境に個人情報を置くのが難しい企業でも安心して導入できると語った。
現在INTEGRAL-COREでは、リアルタイムデータ処理のための機能を開発中だという。この機能を実装すると、利用企業は店舗へ来店した顧客に対し、リアルタイムデータに基づいた接客やマーケティング施策を行えるようになる。
一方、CDPの導入には各種システムとの連携など専門的な技術が必要となり、それが企業にとってのハードルとなっている。EVERRISEではデータの状態に応じた前処理や高度な加工など、開発領域のサポートを手厚く実施。これにより、導入企業がデータ活用のステップを着実に踏めるよう支援していると小木曽氏は話す。なお、その先にあるビジネスプランやマーケティング戦略の立案は、EVERRISEのパートナー企業と連携することで支援していくと続けた。
目的に合わせたデータ統合基盤の開発やコンサルティングのほか、既に保有しているデータを調査するデータアセスメントもEVERRISEでは提供している。小木曽氏は「攻めのDXや顧客データ活用における課題があれば、気軽に問い合わせていただきたい」と述べ、講演を締めくくった。