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これからのインサイトが見えてくる!カルチャーを捉える「Connecting the Dots」法

流行から時代の価値観をひも解く方法とは?「フェムテック」や「スキルマーケット」の共通項から探る

「フェムテック」や「スキルマーケット」の背景にあるカルチャーとは?

 それでは、具体的な事例をフレームに当てはめてご紹介していきます。今回は3つのDotをもとに、その背景にあるカルチャーを考えてみたいと思います。一見離れて見える3つのDotの共通項は何か? 読者のみなさんも、ぜひ一緒に考えてみてください。

生理を通じて自分の身体と心に向き合う女性たち

 1つ目のDot(流行)は、「フェムテックに注目する女性たち」です。男性には少し馴染みが薄いテーマかもしれませんが、フェムテックとは、Female(女性)とTechnology(テクノロジー)をかけあわせた造語で、女性が抱える健康課題をテクノロジーで解決する商品やサービスのことを指します。

 注目のきっかけの1つになったブランドが、「Nagi」。2020年5月に発売された1枚でも過ごせる吸水ショーツが注目を集めました。

 多くの女性にとって毎月1度、やってくる生理は憂鬱なものです。肉体的な負担のみならず、イライラや不安など精神的な負担も小さくないため、生理の期間は重要な予定を入れられないという人も多いでしょう。

 欧米では、多様な生理用品が存在し、自分の好みやライフスタイルに合わせてアイテムを選択することが一般的です。一方で、日本では、生理用品は紙ナプキン以外使ったことがない、という人も多く、選択肢が浸透していない状況がありました。

 女性たちをエンパワーすることをミッションとするBLAST Inc.が立ち上げた同ブランドは、「⾃分の⾝体をコントロールすることは、⾃分の⼈⽣をコントロールすること」という思いのもと、女性たちが自分の身体に関心を持ち、プロダクトを通じて主体的に人生をコントロールするためのきっかけを提供すべく、約1年半の期間をかけて高機能な吸水ショーツを開発しました。SNS上でもコメントが多く寄せられていましたが、彼女たちは製品の高い機能性だけでなく、ブランドからのメッセージでも共感していたのです。

Nagiブランドサイトより引用
Nagiブランドサイトより引用

スキルを売り込み、磨く主体的なキャリア意識

 続いて2つ目のDotは、「自分のスキルを商品にする働き方」です。

 新型コロナウイルス感染症拡大によるリモートワークの浸透や政府の副業支援などが追い風になり、個人が自身のスキルをサイト上で出品し、売買するスキルシェアサービスの利用者が増加しています。最大手の「ココナラ」では、出品サービスが52万件を超え、デザイン、サイト制作、集客から占い、話し相手、コーチングなど幅広い分野に渡るそうです。自らの強みを活かし、報酬を得られるサービスとして人気が高まっています。

ココナラ公式HP
ココナラ公式HPより引用

 また、現在徐々に広がりつつある「ジョブ型雇用」も、働く人が主体的に自らのスキルを企業側に売り込む制度であり、「スキルを商品にする働き方」といえるでしょう。

しきたりや過去の人間関係にとらわれたくない気持ち

 最後となる3つ目のDotは、自粛期間で広がった、「人間関係の断捨離」です。2021年12月、あるテレビ番組をきっかけに「人間関係リセット」という言葉がTwitterのトレンド入りしました。「これまで築いてきた人間関係の解消を繰り返し行ってしまう現象」のことで、携帯電話やSNSの普及により、アカウントを解約することで「リセット」が容易にできるようになったことが現象の後押しをしているようです。

 「リセット」までしてしまう人は多くはないと思いますが、Twitter上では「気持ちがわかる」と共感を示すツイートが相次いでいました。実際、コロナ禍で多くの交流やイベント、行事などがキャンセルになることで、気乗りしない人付き合いをしなくて済んだことを喜ぶ声も多く聞かれました。自分にとって大切にしたい関係と、逆に義理や惰性の関係をはっきりと認識できた人は多いのではないでしょうか。 

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3つのDotに共通するカルチャーは「ポジティブ自己中心主義」

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この記事の著者

藤田 英美(フジタ エミ)

株式会社 TBWA HAKUHODO/Strategic Planning Director/Backslash Team Leader

 国内大手広告代理店を経て、2019年より現職。トイレタリー、化粧品、飲料などFMCGマーケットに強みを持ち、360°プロモーションやブランディング、商品開発など幅広...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/04/22 09:30 https://markezine.jp/article/detail/37465

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