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コロナ禍で急変した店舗とECの役割。「MEDULLA」と「ジールス」に学ぶ購買体験の在り方

回答率は9割!チャットコマースで重要なポイント

MZ:MEDULLAでは、販売戦略としてチャットコマース「ジールス」を導入されています。どういった背景で導入されたのでしょうか?

上原:購入前の検討中のユーザーとのコミュニケーションを補強する狙いで、「ジールス」を活用しています。LINE公式アカウントと「ジールス」を組み合わせることで、詳細な質問が設定できたり、ECやパーソナライズに対するユーザーの不安を払拭できる特長があると感じています。

MZ:チャットコマース「ジールス」を導入するメリットは、どのような点にあるのでしょうか。

遠藤:「ジールス」があったからこそ、購入に至るユーザーがいるという点です。チャットコマースでは、最初に商品をオファーすることはなく、質問を投げかけてコミュニケーションを深めていきます。Spartyさんであれば、「ドライヤーをして髪を乾かしてから寝ていますか?」「トリートメントや特別なケアをしていますか?」など、回答が容易かつ具体的な質問が設定されています。その後、ユーザーの不安や悩みを払しょくしてから、その人に適した商品をカスタマイズできる仕組みになっています。商品の購買時に接客を必要としている人に対してコミュニケーションを取り、購入に至る流れを設計することが、「ジールス」の介在価値であると考えています。

MZ:かなり具体的な質問をされていますが、回答率はどれくらいなのでしょうか?

遠藤:Spartyさんの場合、直近2ヵ月で9割(※)のユーザーがすべての質問に回答してくれています。その回答を参考に、LINE公式アカウントのメッセージ配信で追いかける設計です。LINE公式アカウントでは、ユーザーの検討期間中、1日後、1週間後など適切なタイミングでその人に合わせたコミュニケーションを取ることができます。ここが、LINEの大きな利点です。特にCookie規制でリターゲティングが難しくなる中、マーケティングの観点からもLINEが果たす役割は大きいと思います。

MZ:回答率が非常に高いですが、何かコツがあるのでしょうか?

遠藤:チャットコマースの場合は、最初の質問が最も重要です。そこを乗り越えられれば、ユーザーはスムーズに回答してくれます。「アクションボタンが押されやすいウェルカムメッセージ」「最適な質問数」など、弊社が長年蓄積しているノウハウがあるので、これを活かしてファーストステップを踏み、そこからPDCAを回していきます。

(※)ジールス調べ。初期会話の回答率(2021年8月27日~2021年11月28日)
 

店舗=売る場所ではない。購買体験の設計で考えるべきこと

MZ:続いて、実店舗のお話を伺ってきます。MEDULLAはオンライン発でありながら実店舗も運営されていますが、目的は何だったのでしょうか?

上原:あくまでオンラインでの販売がメインで、これを補完する場所として運営しています。MEDULLAの特徴のひとつに「香水のような香り」があるので、これを体験できる場として。また、専門スタッフが無料で髪質診断を行うことで、自分で頭皮や髪の状態を見極めて診断に回答するのは難しいというユーザーのニーズに応える場として、売る場所ではなく体験の場所と定義しています。

 私たちの商品はオンラインかつサブスクリプションモデルでの販売なので、そこに不安を感じる方も一定数存在します。そうしたユーザーにとって、スタッフから直接、説明や無料診断を受けられる実店舗は安心して商品を購入できる場にもなっています。

MEDULLA直営店舗。マイクロスコープを使った本格髪質診断とヘアケアアドバイスを無料提供している
MEDULLA 有楽町マルイ店

MZ:コロナ禍を経験し、デジタルで補えるものと補えないものが消費者側でも企業側でも浮彫になった印象があります。「デジタルで補えないもの」について、それぞれどのようにお考えでしょうか。

上原:「五感」の部分がその1つかなと思います。直営店舗を作った意味もそこにありますね。表参道には、トリートメントスパ「SALON DE MEDULLA」を構えており、デイリーケアではカバーしきれないスペシャルケアや、プロの手によるヘッドスパなどの「癒しの体験」を提供するためにリアルな場を活用しています。

遠藤:リアルでしか得られない価値は大いにあると考えています。たとえば、話にあがった匂いなどについては、今のテクノロジーではデジタル上で再現することができないため、リアルの場所(店舗)に価値が生まれます。

 ここで我々が考えるべきは、「デジタルかリアルか」という二元論ではなく、「どんな体験がお客様にとってよりハッピーなのか」ということです。もはや購買体験は、店舗もECも融合された世界線にあります。ECと店舗を区分するのではなく、一連の顧客体験のストーリーを最適化する考え方が、今後さらに強まると思っています。そして、現状ほとんどのD2Cブランドがデジタル上でのみ展開されている中、オンラインとオフラインの融合を実現している点で、Spartyさんは先進的な存在であるという印象があります。

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コロナ禍を契機にデジタル接客は喫緊の課題に

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2021/12/10 11:00 https://markezine.jp/article/detail/37539

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