コロナ禍における企業のSNS活用、94%が肯定的な意見
全国に800店舗以上を展開し、店舗数・売上ともに国内宅配ピザチェーンNo.1を誇るドミノ・ピザ ジャパン。小山氏は「コロナ禍におけるSNSの現在地」と題し、はじめにSNSの利用状況の変化を解説。ポイントは、SNSの接触時間が増えながら、企業のプロモーション活動には好意的な点だ。
まず紹介されたのは、2019年と2020年それぞれのTwitterにおけるトレンド上位20ワードのランキング。2019年は例年のように時事的なニュースが並んだが、2020年のランキングでは、20位中7つの項目に新型コロナウイルス関連のトピックが並ぶ結果となり、世の中に与えた影響の大きさが理解できる。
次に、コロナ禍におけるSNS利用による調査(クロス・マーケティング調査)では、TwitterやLINEを中心にSNSの接触時間が増えていることがわかった。中でも、特に20代女性は6割が「SNSを使う時間が増えた」と回答していた。
さらにコロナ禍における企業のSNS上のプロモーション活動については、感染拡大につながる行動以外ならば“不快感はない”が40%、“好意的に思う”が33%。また、“以前と同じでいい”という意見が21%、残りの6%が“不快感がある”と回答。合計すると94%が肯定的な意見となっている(アライドアーキテクツ調査)。
小山氏によると、回答の割合としてはコロナ前とほとんど変わっていないという。内容には注意が必要だが、利用者が増えている状況を追い風に、積極的に活用することが得策だ。
SNSはインサイトを知るための最適なツール
利用者数や利用時間が増え、企業のプロモーション活動も肯定的に受け止められている、コロナ禍におけるSNS。この状況で企業はSNSにどのような価値を見出し、どのような活動をしていけばいいのだろうか?
小山氏は「SNSは見えにくいデータが見える場所」だと語る。“見えにくいデータ”とは、ユーザーの潜在意識、インサイトを指している。一方、見えやすいデータとは、分析ツールを利用して得られるCPCやCPA、CVRなどが挙げられる。
見えにくいデータを見ることの重要性を、小山氏は以下のように語った。
「見えやすいデータだけでは、『何が理由で数値が増加したのか?』を読み取ることは困難です。なぜなら、どんな外部要因が影響を与えているのかわからないからです。外部要因を含めて、何が原因で数字に変化があったのかを明らかにするのが、見えにくいデータです。これはユーザーインサイト、つまり人の深層心理や潜在意識に当たります」(小山氏)
SNSは、この見えにくいデータをリアルタイムで知ることができる長所を持つ。興味、関心を集めた情報が、なぜ、どうシェアされているかがわかるからだ。さらに小山氏は、見えにくい情報を見えやすいデータと掛け合わせることで、ユーザーにインパクトを与える可能性が高まると続ける。
「インサイトを理解し応用することで、たとえばリスティング広告のタイトルや内容に、ユーザーの興味を引く工夫をすることができるかもしれません。結果、CPCやCPAなどの向上、ひいては売上の向上が期待できるようになります。また、ユーザーにとってどのようなブランド・プロダクトメッセージが刺さるのかを知るトリガーにもなり得ます。このような観点から、ドミノ・ピザでは『見えにくいインサイトをどう正確に理解するか?』を非常に重視しています」(小山氏)