ペルソナ設定&カスタマージャーニー作成は、営業も巻き込む
三瀬:こうしてゴールを設定したら、次は「ペルソナの設定」です。ペルソナについては、すでに設定されているお客様も多いですが、具体的に考えられていないお客様にはHubSpotのフレームワークを使って、設定を進めていただきます。
ここでのポイントは、業種・役職・居住地などだけでなく、たとえばBtoBのビジネスを展開されているお客様の場合、どのような悩みや疑問を抱えている人なのか、何を達成するために日々業務を行っている人なのかまで考えることです。ここが曖昧だと、マーケティングメッセージにしても、セールスのアプローチにしても、何を打ち出せばペルソナに刺さるかがわからなくなってしまいます。あわせて、購買プロセスにおけるペルソナの立ち位置によっては社内承認に時間がかかるなど、考えられる障壁も書き出しておきます。
ペルソナの課題まで洗い出したところで、「カスタマージャーニーマップの作成」に入ります。ここでは、必要に応じて営業担当や顧客へのヒアリングを実施することもあります。
MZ:なるほど。この段階から営業担当者を巻き込んでいくのですね。
三瀬:マーケティング担当者はお客様との接点があまりないので、ペルソナやカスタマージャーニーを作る時に、「実は顧客のことをよく知らなかった、わかっていなかった」と気づくことがよくあります。ですので、ペルソナ設計の段階から、営業担当者やお客様の声を実際に聞いているカスタマーサクセスやカスタマーサポートのチームも、ぜひ巻き込んでいただくといいと思います。
また、営業担当に過去の失注理由を聞くこともあります。なぜ受注できなかったのか、どんな問題があったのかがわかると、マーケティング担当も具体的な対応策を練ることができます。
「1日2時間、作業に割ける人が1人でもいれば」CRM・MA導入に必要なリソースは?
MZ:ご説明いただいた3ステップは、一般的にどのような体制で進めるとうまくいくのでしょうか?
三瀬:全体を俯瞰してみることができる管理者が1人いることが理想です。導入時は部署を横断して設計や設定をすることが多いので、それぞれの部署に担当者を置いた場合、責任の所在が曖昧になってしまうからです。管理者はただ責任を持つのではなく、自らも状況を把握して、マーケティングと営業など部門間の連携を促す役割を担います。
MZ:社内に人的リソースがないために活用が進まない、あるいは導入を見送っているというケースもよく聞きます。
三瀬:CRMやMAに知見がある担当者がいれば良いのですが、実際にはなかなかそうもいかないでしょう。我々が導入支援させていただいた企業様の中には、こうしたツールの活用が初めてという例も多数あります。新しいことを積極的に学ぶ意欲がある方、様々な部署間のやり取りをまとめられるコミュニケーション能力がある方であれば、CRMやMAの知見がなくてもしっかり活用を軌道に乗せられると思います。また、担当者の作業量の目安としては、1日2時間をHubSpotなどの設定に使える人が1人いれば、導入を進められるとお伝えしています。
もし、人的リソースがないために導入を先送りしている、あるいは導入および活用が滞っているのであれば、パートナーや運用会社を見つけるべきです。最近はクラウドや業務委託などによるサポートを提供している企業もあります。ツールに投資しているのに、何も改善されていない、成果が生まれていないのであれば、ロスが発生している状態であると言えます。そのような時は、なぜ導入したかというそもそもの目的に立ち返ると良いと思います。
HubSpotが提供する「CRM・MA導入のチェックリスト」。導入前に確認しておきたい、細かいポイントまで網羅しています。ぜひ、日々の業務の参考にしてください。