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Googleが調査結果から導き出した「7つのクラスタ」とは?ITの利用動向から生活者の実態を紐解く

7つのクラスタを解説!

1.ウェルネス型:ITは「生活が豊かになるもの」

MZ:では、7つのクラスタについて解説をお願いします。

朴:はい。1つ目の「ウェルネス型」は、ITに対して最も好意的なクラスタで、利便性の高いITを積極的に取り入れて利用することで生活が豊かになる、と考えている集団です。注目したいのは、因子5(便利と引き換えに個人情報を提供してもいい)、因子6(情報をコントロールできないと不安)で、自分の情報を提示することに慎重でありながらも、個人情報と引き換えに便利なサービスを受けることには前向きな姿勢を示している点です。このことから、ウェルネス型は、現在のITサービスのエコシステムに理解があり、ITに対する知識も豊富であると言えます。

 クラスタごとの違いをわかりやすくするために、「食事会をして割り勘をする時、7つのクラスタはそれぞれどのような行動を取るか」という仮想をしてみたので、各クラスタをイメージする補足材料として紹介したいと思います。

【食事会で割り勘をする時、どうする?】

普段から現金はあまり持ち歩かず、キャッシュレス決済を積極的に利用。割り勘もアプリの個人間送金を使って、その場で済ませる。

2.トレンドフォロー型:ITは「常に動向を追いかけるべきもの」

朴:次は「トレンドフォロー型」です。このクラスタは、ウェルネス型よりも最新のIT技術やサービスの利用に関して積極的です。特徴的なのは、最先端の流行として追うべきものとしてITを捉えているところで、ITは生活を便利にするものと捉えているウェルネス型とはこの点で少し異なります。また、地上波テレビや無料動画配信サービスを積極的に視聴し、ウェアラブルデバイスやスマートスピーカーの利用率も高いことから、ITに限らず最新のものを取り入れたいという意欲が高いクラスタであると考えられます。

【食事会で割り勘をする時、どうする?】

様々な決済手段について知っており、網羅していることをクールだと思っている。その使い方などを周りの人に教えるような行動を取ると想像する。

3.トライ型:ITは「得意ではないが、頑張って使うもの」

朴:3つ目「トライ型」は、ITに対しては好意的でありながらも、自信があるわけではなく、頑張って使っている・使ってみたいと思っているクラスタです。各種ITサービスの利用率は非常に高いですが、世の中で新しく普及し始めているものより、すでに普及していて利用方法が確立しているもの、困難でないものを中心に利用している傾向があります。ITに対する態度は前向きなので、ITへの需要や期待は今後増えていくのではないかと予想しています。

【食事会で割り勘をする時、どうする?】

現金だけでなく、クレジットカードやQR決済を取り入れているものの、個人間送金やアプリ上の割り勘機能までは利用していない。ただ、関心はあるため、ウェルネス型やトレンドフォロー型が最新の機能を利用していたら、使い方を教えてもらうなど、利用に対して前向きである。

4.ディスタンス型:ITは「心理的な距離があるもの」

朴:続いて「ディスタンス型」は、この名前が示す通り、ITに対して関心が低いクラスタになります。ただ、ITは積極的に利用するものではなく、当たり前に存在しているものとして捉えているとも言えます。ITサービスによる利便性やメリットを感じておらず、また期待値も低い点が特徴です。

【食事会で割り勘をする時、どうする?】

そもそも無関心のため、決済手段自体にこだわりがない。結果的に普段から現金を使うことが多いため、「アプリで割り勘をしましょう」となっても、「使い方を知らないので現金だと助かります」と言うパターンが考えられる。

5.アクセプト型:ITは「面倒だが、周りに合わせて使うもの」

朴:5つ目の「アクセプト型」にとって、ITは「面倒だけど周りに合わせて使うもの」です。現金の使用率が高いなど、形がないITより、フィジカルなものに重きを置く傾向があり、今後心がけたいこととして「無駄なものを減らしてシンプルに生きたい」の回答が最も多い点が特異なところです。自分自身はITによる利便性を感じていませんが、周囲に合わせて行動するため、メッセンジャーなどのアプリの利用率が高くなっています。

【食事会で割り勘をする時、どうする?】

決済手段は一通り利用できるが、個人間送金など最新の機能に関心があるわけではない。それでも、その場で個人間送金を使う流れになったら「面倒くさいな」と思いながら周りに合わせて使ってみる。

6.ミニマル型:ITは「必要最低限だけ使うもの」

朴:6つ目の「ミニマル型」は、ITに対する不安や懸念を強く感じているクラスタです。そのため、因子5(便利と引き換えに個人情報を提供してもいい)が弱く、ITを使わないことによるリスク回避を重視している点が最大の特徴です。生活に必要な最低限のITサービスは利用しますが、それ以上取り入れることはありません。

【食事会で割り勘をする時、どうする?】

情報流出や悪用への懸念が強いため、アプリ決済などは普段から利用しない。意図的に現金支払いを選択する。

7.クリティック型:ITは「自分向けではないと感じるもの」

朴:最後7つ目の「クリティック型」は、ITに関する関心と理解はあるものの、因子3(ITによって生活が便利になっている)が最も弱い点、そして、特に因子4に含まれる設問の「SNSは、人々のつながりを弱めて分断している」や「インターネットは、誤った情報の拡散を助長している」「インターネット企業は個人情報を過度に収集している」が比較的強いことから、ITが社会に与える影響を懸念していることもわかります。加えて、SNSの利用率やマスメディアに対する信頼度も低く、自分の考えをもって利用するツールを選択していると考えられます。

【食事会で割り勘をする時、どうする?】

トレンドフォロー型のようにアプリを使って割り勘をすること自体、あまり好まない。逆に、なぜ自分は決済アプリを使わないかを説明するような行動を取る可能性も想像される。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/11/26 08:00 https://markezine.jp/article/detail/37773

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