世界が進むチカラになる。(三菱UFJフィナンシャル・グループ)
一文字に、想いと覚悟を込めて
――御社のパーパスを教えて下さい。
弊社では4月から新中期経営計画をスタートさせており、同時に「世界が進むチカラになる。」というパーパス、および従来からあるバリューズとビジョンを含めた「MUFGWay」を発表しています。社会の急速なデジタル化・グリーン化といった変化に対応していくために、MUFGとして世の中にいかに貢献していくのかという提供価値を改めて確認し、全社で同じほうを向いて進む必要があると考え、パーパスの策定に至りました。
このパーパスには細部までこだわりが凝縮されています。まず、「世界」という言葉は、WorldやGlobalだけでなく、社会や未来の世代を含めたすべてのステークホルダーを表しています。また、「チカラ」とカタカナにしたのは、物理的な力だけでなく、MUFGの想いの強さを表現したかったからです。最後の句点にも、やり遂げる意思や覚悟を示す意図がありました。
個人的には、「世界が進むチカラになる。」は、広い概念である一方、一人ひとりに解釈をゆだねてくれているとも感じています。社員に自身の存在意義や周囲への提供価値を見つめ直すきっかけを与えてくれる、良いフレーズだと思っています。
個・チーム・会社でベクトルをそろえるために
――マーケティングや日々の業務に、どのようにパーパスを落とし込んでいますか?
パーパスは、社会に対するMUFGの約束・覚悟であると考え、「世界が進むチカラになる。」を体現し、その取り組みをうまく世の中に伝えることを意識しています。実は、従来からいい取り組みは多く行っているのですが、世の中の方々や多くの社員に認識されていないことを残念に思っていました。特に、自分たちの仕事がどのように世の中へ貢献しているかを社員が理解することは、MUFGがいかに社会のチカラとなれるかに関わってくるので、非常に重要です。
社内でのパーパスの理解・浸透は、個人の考えと会社のパーパスが重なる部分を感じてもらうことから始まると考えており、上司と部下でパーパスについて話し合う機会を設けています。私もチームメンバーと自分なりのパーパスの解釈や、誰のチカラになりたいと思っているかなどを話し合う場を作りました。それぞれの想いや解釈を聞くことで、パーパスの意味を咀嚼する機会にもなり、個・チーム・会社の向かうベクトルがそろっていったように感じています。

三菱UFJフィナンシャル・グループ 経営企画部
ブランド戦略Gr 調査役 前川史佳氏
Sustainability First(ユーグレナ)
外部要因に影響されない、シンプルな哲学
――御社のパーパスを教えて下さい。
「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」です。ユーグレナ・フィロソフィーとしてこの言葉を設定しています。2020年、ちょうどユーグレナ社が15周年のタイミングで制定しました。リーマンショックや、新型コロナウイルス感染症などの影響で大きく世の中が変わる機会が今後発生したとしても、ユーグレナ社にとって変わることのないシンプルでブレない哲学として掲げた言葉です。2005年の起業後、ユーグレナ社は微細藻類ユーグレナの食用屋外大量培養に成功し、事業をスタートしてきましたが、創業時の「栄養失調の問題を栄養豊富な食材で解決したい」という初志から、様々な事業をサステナビリティに基づいて推進していく、という考えを込め、制定しています。
これを発表するタイミングで、それまでに掲げていた経営理念・企業ビジョン・スローガンを廃止しました。その背景には働き方の変化があります。テレワークが増える中、理念などの言葉をオフィスの壁に掲示していても見る機会が減りました。そろって読み上げる機会も減りました。今ジョインする仲間にとっても「仲間である」と自覚するためには覚えやすく、行動の芯となる言葉が必要です。ユーグレナ社は「Sustainability First」という言葉の通り、その考えに沿う事業に整理し、新たなステージへと駆け上がるべく、言葉の統一を実施しました。
すべての事業をパーパスのもとに
――マーケティングや日々の業務に、どのようにパーパスを落とし込んでいますか?
「Sustainability First」には、「目の前の短絡的な課題ではなく、未来志向でずっと続けていき、考えるだけに留まらず具体的に考え、行動している状態」という意味を込めています。2020年8月制定時、社内の仲間向けワークショップを複数回実施し、その言葉を自分ゴト化できるように機会を作ってきました。そして今、食品・化粧品・バイオ燃料・遺伝子解析など、様々な事業をこの言葉のもと進めています。「この新たな取り組みが、どうサステナブルなのか」というのは日々、どの打ち合わせでも語られる状態になっています。2021年4月から佐賀県に研究農場を開設しましたが、サステナブルな研究をここで追及する、という想いをこめて、「佐賀サステナブルテック・ファーム」と名付けたのも、そのひとつです。

株式会社ユーグレナ 経営戦略部
コーポレートコミュニケーション課 課長 北見裕介氏