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特集:きれいごとで終わらせないパーパス・ブランディング

パーパスは会社を導く航海図

 本記事では、パーパスという言葉がバズワードになる前から着目し、組織作りに取り入れてきた吉野家CMOの田中氏に取材。同氏から、パーパス策定・浸透の秘訣を吉野家での取り組みとともに聞いた。

※本記事は、2021年11月25日刊行の定期誌『MarkeZine』71号に掲載したものです。

強い組織を考えた結果パーパスに行きつく

株式会社吉野家 CMO 株式会社グリッド CEO
公益財団法人日本スポーツ協会 ブランド戦略委員会委員 田中安人(たなか・やすひと)氏

 HR、経営戦略、海外戦略、販売戦略、スポーツマーケティング、アドバタイジング・エージェンシー/パートナーなど幅広い経験から多くの企業のCMOを歴任。公益財団法人日本スポーツ協会ブランド戦略委員会委員。フェアプレイ委員会選考委員長。帝京大学ラグビー部OB会初代幹事長として大学選手権9連覇の強さの秘密を解き明かした書籍「常勝集団のプリンシプル〜自ら学び成長する人材が育つ心のマネジメント〜」を企画・編集。

――田中さんがパーパスに着目するようになったのには、どういったきっかけがあったのでしょうか。

 元々、企業の組織を強くすることに関心があったのがきっかけですね。最初に勤めた小売業のヤオハンでは、経営企画室に在籍する中で倒産を経験しました。当時一部上場企業が倒産するというのは、非常に珍しいことでした。倒産するまで、会社を再生するために経営企画室で様々なことに取り組む中、「強い組織とはなんだろう」と考えるようになったのです。

 そして、ヤオハンをやめてマーケティングに携わるようになってから、ある研究所と組織に関する研究を行ってきました。具体的には、25年ほど前にES(従業員満足度)に着目し、「ESの高い企業は売り上げも高いのでは?」と様々な企業で検証を行いました。すると、数兆円規模の売り上げを誇る大企業で相関関係が出たのです。

 そして、ESの高い企業を作り上げるために必要な要素を考えたとき、次に目を付けたのはミッション・ビジョン・バリューでした。この3つは多くの企業で策定されているものの「どう使えばいいかわからない」「浸透しない」などの課題が存在します。

 この課題解決に向けて研究を続けていく中で、企業の価値と個人の価値を融合させると離職率が下がるのでは、と仮説を持ちました。5年から10年ほど前のことなので、まだパーパスという言葉は普及していませんでしたが、この頃からパーパスに近いことを考えるようになっていたのだと思います。

 そして、ミッション・ビジョン・バリューを設計するフレームワークを電通ビジネスデザインスクエアと開発していく中で、パーパスの必要性に行きつきました。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/11/26 07:30 https://markezine.jp/article/detail/37790

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