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マーケティングの「全体最適化」を叶える新常識「パーセプションフロー・モデル」とは【お薦めの書籍】

 テクノロジーのアップデートだけでなく、市場のルールも加速度的に変わる中、マーケターはどのように全体設計し、成功させていけばいいのでしょうか。本記事では音部大輔(おとべ・だいすけ)氏が消費者起点でマーケティングの全体設計図を描く「パーセプションフロー・モデル」を解説。全体像を見ながら継続的に改善し続けられる仕組みの一部を紹介いたします。

消費者の認識(パーセプション)を中心に、活動全体を俯瞰

 今回紹介する書籍は、『The Art of Marketingマーケティングの技法―パーセプションフロー・モデル全解説』(宣伝会議)。著者は、クー・マーケティング・カンパニーの代表取締役である音部大輔氏です。

『The Art of Marketingマーケティングの技法―パーセプションフロー・モデル全解説』<br />音部大輔(著)宣伝会議 2,400円+税

『The Art of Marketingマーケティングの技法―パーセプションフロー・モデル全解説』
音部大輔(著)宣伝会議 2,400円+税

 音部氏は17年間、日米のP&Gを経て、ダノンジャパン、ユニリーバ・ジャパン、日産自動車、資生堂など様々な文化背景、製品分野の企業でブランドマネジメントやマーケティング組織構築を主導。2018年に独立し、様々な企業のマーケティング組織強化やブランド支援に携わっています。

 スマートフォンの普及に始まり、日常生活のデジタル化が急速に進んでいます。センサーやデータ技術の進化によってテクノロジーやサービスは日々進化を遂げていくと同時に、新サービスやツールが次々と生み出され、複雑化が進んでいます。

 こうした中、マーケティングの部分的な改善は進むものの、事業全体の成功に結びつかない企業も少なくはありません。音部氏はこのような状況について「部分最適な延長線上に必ずしも全体最適があるわけではない」からだと指摘しました。

 では、多様な接点やツールをうまく連携し、マーケティング活動全体の最適化を実現するには、どうすればいいのでしょうか。この疑問の答えとして音部氏は、「マーケティングやブランディング活動の効果的な管理のためには消費者の認識(パーセプション)を中心に、活動全体を俯瞰することがとても重要」と述べています。

 本書では、音部氏が開発したパーセプションフロー・モデルを詳しく解説。本記事では、複雑化する環境下でブランドマネージャーやマーケティングチームが、現状認識や将来像を共有し、市場創造やブランド構築を行う上で的確な判断を下すため、活動全体を俯瞰する技法の一部を紹介いたします。

マーケティング活動の全体設計図を描く

 パーセプションフロー・モデルは、「消費者は購入する前に認知で興味を持つ」という伝統的な考え方を踏まえて作られています。それに前後に重要な項目を追加し、以下の8つの段階を標準型としています。

【現状】→【認知】→【興味】→【購入】→【試用】→【満足】→【再購入】→【発信】

※この8段階は、事業領域やビジネスモデルに応じてバリエーションが存在します。

 このパーセプションフロー・モデルの標準形の8段階は、伝統的な階層モデルと比較すると、次の3点が大きく異なります。

1.「注目」から始まらず「関心」から始まる
2.購入で終わらず再購入を目指す
3.試用と満足を重視する

 多くの階層モデルは「注目する(Attention)」から始まりますが、パーセプションフロー・モデルでは【現状】から始まっています。【現状】は現在の行動と消費者の認識であるパーセプションを示し、「何を解決するために、どのように行動しているか」を挙げていきます。

 また、ブランドの持続的な成長のためには、愛着をもって【再購入】し続けてくれるロイヤルユーザーは不可欠です。そこで、1度目の購入を目的地点にせず、【再購入】に至る、重要な経由地点だと同モデルでは考えられています。また、SNSの台頭により音部氏は「多くのブランドが【購入】だけでなく【再購入】、さらには口コミなどの【発信】を意識する必要性が高まってきています」と続けました。

 加えてパーセプションフロー・モデルでは、製品やサービスを実際に【試用】し、【満足】を実感するブランド体験を重視する設計になっています。【試用】で良好な第一印象と、正しい期待を持ち、ブランド使用体験で【満足】を実感する。これが【再購入】の動機付け、ひいてはブランドの継続使用を、消費者が決定するかの判断軸となります。

パーセプションフロー・モデルは、なぜ実践で機能するのか?

 同モデルが実践で機能する理由は、3つの側面から説明することができます。

1.消費者視点による理由
 消費者のパーセプションと行動による「仕組み」に基づく

2.マーケターによる理由
 結果を通して施策の「働きかけ方」を学ぶ

3.戦略視点による理由
 資源の有効な利用と全体最適

 1つめの「消費者視点による理由」として音部氏は「『売るためにはどうしたらいいか』よりも『消費者が買いたくなるためにはどうしたらいいか』を考えるべきです」と語っています。消費者を置き去りにすることなく、「消費者のパーセプションや行動が変化する『仕組み』に基づいた施策・活動の立案」をパーセプションフロー・モデルでは可能にすると言います。

 2つめの「マーケターによる理由」ですが、マーケティング活動では最初から成功する方がまれです。音部氏は「繰り返し予想される活動の実行の仕方、つまり『仕組み』への『働きかけ』を振り返ること」で改善を促すと語られています。

 3つめの「戦略」についてですが、そもそも目的達成のための資源利用の指針と定義づけられています。そして、あらゆるマーケティング活動には、目的があり資源に限りがあるので戦略が必要です。パーセプションフロー・モデルは、全活動を把握できるので、活動の被りやもれを避け、「各部分の補完や相乗を促し全体最適を可能」にすると言います。結果的に、資源の有効利用につながるので目的を達成しやすくなります。

 本書ではこうしたマーケティングを俯瞰して全体戦略を描く方法や、全体指揮を執る際、実際どのように活用するのかなどといったことがケース別に書かれています。また、コラムでは普段マーケターが何気なく使っている「戦略」「ベネフィット」「ブランド」といった言葉について、改めてどのように捉えたらいいのかが書かれています。全体最適が必要なマーケティングリーダー・経営者の方はもちろん、マーケティング初心者でもわかりやすい書籍です。

 本書を通して、全体設計を見直し、実務に活かしてみてはいかがでしょうか。

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この記事の著者

齋藤 ゆう(編集部)(サイトウ ユウ)

大学卒業後、広告代理店に入社しマーケターに。その後、事業会社に転職。金融・美容分野のマーケティング・企画・運営・セールスに携わる。2020年、翔泳社に入社しMarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/12/24 09:00 https://markezine.jp/article/detail/37815

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