※本記事は、2021年11月25日刊行の定期誌『MarkeZine』71号に掲載したものです。
世界4,000社以上が登録「Bコーポレーション」認定とは
SDGsガイドラインやESG(環境:Environment、社会:Social、ガバナンス:Governanceの頭文字を取って作られた言葉)の概念が広がるにつれて、にわかに企業が「環境課題」や「サステナブル」への取り組みを公表したり、昔からの既存事業にSDGsの17個のステッカーを貼ったりする表面広報が活発だ。日本でのこれら一連の動きは、2016年に日本国政府がSDGs推進本部を設置してからの画一的なものだが、「付け焼き刃」や「免罪符」になっていないだろうか。
米国においての企業活動の社会的・環境的パフォーマンスを評価する制度は、政府機関が策定したものだけに頼らない。民間の草の根で精査する方法が2007年頃から存在している。例として、米国の非営利団体「B-Lab」が運用、認定する「B-Corporation(以下、Bコーポレーション 図1)」の概念と考え方について紹介しよう。
Bコーポレーションの認定を受けている企業は、米国に限らず、世界77ヵ国以上、150業種、4,000社以上にのぼる。広く知られている企業としては、「Patagonia」「Danone」「Allbirds」などが含まれ、スタートアップ企業の登録が多いのも特徴だ(日本企業では7事業者が登録している※1)。ガイドラインをクリアするためには、従業員や地域社会、顧客や環境に対する確認の質問(約200問)に回答する6~10ヵ月の認証プロセスを経る必要がある。認証率はおよそ3割とされ、民間の審査であるBコーポレーション認定には、当然ながら年間登録費も発生する。
※1 2021年8月末時点