地方支店と連携しながら媒体を選定し、WebとDOOHで露出
MZ:抱えていた課題の解決に向け、どのような戦略に基づいてキャンペーンを設計されていったのでしょうか。
三橋:通常期はBtoB(企業向け)とBtoC(求職者向け)いずれの場合も、リスティングなど刈り取り系の広告をメインに実施しています。今回のキャンペーンでは「リスティングのボリュームを減らさずに認知系の施策を行うことで、ターゲットとなる層の母数を最大化できるのではないか」という仮説を立てました。
高木:キャンペーンの1番の目的は、マンパワーグループという社名をより多くの方に知ってもらうことです。マンパワーを必要としている企業の管理職、層的にはM2がコアターゲットでしたが、露出による副次的な効果でF1~F1.5層の求職者の方からの認知獲得も想定していました。
三橋:YouTubeやYahoo!の純広告、SNSなど、大多数の方にリーチできる媒体を選定しつつ、+αとしてタクシーアドや駅ナカ広告、電車広告など、コアターゲットである企業向けのDOOHコミュニケーションも実施しました。比率としては、WebとDOOHが半々くらいですね。
また今回は「マーケティング部門が現場の声をきちんと吸い上げてプロモーションに反映する」というミッションも掲げていたので、プランニングの段階から地方支店のメンバーと連携し、地元で効果が見込める媒体を選定しました。
高木:人材業界は地方によって売上のシェアに大きなばらつきがあり、東京ではそれなりの知名度を持っている企業でも、地方では地場の強い会社にシェアを奪われている。要は戦国時代のようなマーケットなんです。そのため、現地の競合やマーケットをよく知る支店の知恵を借りる戦略で臨みました。
遊び心のある話法に伝統的な手法を掛け合わせたクリエイティブ
MZ:クリエイティブディレクターを務められた大沢さんから、今回のクリエイティブに込めたねらいをお聞かせください。
大沢:クリエイティブの制作において「手法」は当然大事ですが、今回のキャンペーンでは手法だけではなく「話法」にもこだわって提案しました。
サービスや商品にまだあまり優位性のないクライアントの場合は、とにかく社名認知の向上が最優先です。しかし、マンパワーグループのポテンシャルを考えると、質を重視した認知の獲得を目指すべきではないかと考えたんです。
マンパワーグループには、先ほど高木さんがおっしゃっていた「働く世界に力を与える」以外にも「People First」という言葉があると伺いました。このスローガンを体現する役割として用意したのが、土屋太鳳さんの演じる「マンパワー・ウーマン」というキャラクターです。
大沢:「遅くまで残業している部長さんの心の内は『冷蔵庫のプリンが食べたい』だというところまで分かっていますよ」と、話法では少しふざけながら「ターゲットが抱える課題や必要なソリューションを、マンパワーグループはすべて把握しています」というメッセージを込めました。
こうした話法に土屋太鳳さんが持つタレントとしての魅力や、歌い込みなどの手法を掛け合わせることで、ターゲットの耳と心に印象が残るクリエイティブになったと思います。
MZ:コミカルで個性的な映像は、広告主にとってチャレンジングなクリエイティブだったとも言えるのではないでしょうか。
高木:最初からチャレンジしたいと考えていたわけではないですが、大沢さんたちのプレゼンの熱量に経営陣が感化され、「やるなら徹底的にやろう」という方向に進みました。