ジェネラリストかスペシャリストか?
志賀:なるほど。ですが、結果的に今のCCOという役職を見ると、良い方向に繋がったのではないですか?
松本:ええ、それまで「働くなら売り上げを作るフロントにいたい」といったバイアスを自分に勝手にかけていたのですが、会社を良くしていくという観点ではフロントもバックも変わりません。育休後に人の成長に携わる仕事に就きましたが、社員や組織の成長を実感できるこの仕事に対して、素直にやりがいを感じています。母になり、人の成長を応援することの喜びを知ったことが大きいのかもしれません。
そして、それまでのキャリアが組織・広報の仕事で活きないかと言うと、そんなこともありません。ハードスキルで考えると違いがありますが、ファクトを集めて課題を見つける、KPIを設定するなどのソフトスキルは組織や広報に関する仕事でも活きています。
志賀:とてもよくわかります。私自身も銀行の一般職から事業会社で社長秘書・新規事業を経験し、その後、広報や新規事業、経営企画に携わり独立しました。どの経験もすべて活かされていますし、自分のキャリアの軸はブレていないんです。会社経営をする今でも「あの時のこの経験をしていてよかった」と思うことばかりです。
松本さんは、経営・マーケティング・人事と幅広いスキルを身につけられて、ジェネラリストとしてのキャリアの一例になりますよね。一方で、幅広い経験をしているからこそ、自分の強みがわからないという声もよく聞きます。
松本:幅広いジェネラリストになった方は、「自分には何か特化したスキルがない」と悩むのかもしれませんね。マーケターと一口に言っても様々ですが、たとえば、メーカー企業のマーケターは、商品開発から戦略の設計と実行、課題分析まで一巡のPDCAを統括していくポジションです。つまり、汎用性の高いスキルを身につけられる場所にいるはずで、その思考プロセスや振り返り方などをもってすれば、キャリアの選択肢が閉じることはない、と今は思います。
志賀:そうですね! 自分のやりたい仕事が明確にあるのなら、具体的にアクションを起こす行動力も時には必要だと思います。私はPRの仕事をしたいという目標があったので、第二新卒で経営と密に関わる社長秘書の職に就き、結果広報を兼任する形でPRのキャリアをスタートしました。そこから数社で経営戦略室や広報責任者を経験し、今は企業やブランドのPR・ブランディングをサポートする会社を経営しています。妊娠・出産を見据えて働く環境と実績を作るために、妊娠前に独立し起業しました。自分のやりたい仕事や理想の働き方を実現するためには、自らアクションを起こすことと周りに伝えていくことが、実体験からも重要だと感じます。
全方位カバーできなくてもいい。「人の成長を支援したい」という軸を見つけた
志賀:最後にこれからのキャリアプランや目標などを教えて下さい。
松本:先にお話しした通り、若い頃は「やりたい仕事を見つけた時に飛び込んでいける能力を身につけていたい」という思いからキャリアを考えていたところがあり、全方位カバーしようと必死でした。母になり、人の成長を応援することの喜びを娘たちから教えてもらった今、はじめて「やりたい仕事」を見つけられたように思います。母になってから起業する友人や、異業種に転職する友人を見ると、「やりたい仕事」を見つけるのは、何歳になってからでも遅くないように感じています。
もうひとつ、私が働く姿を見て、娘たちには未来に希望を抱いてほしいと思っています。忙しそう・大変そうというイメージではなく、「頑張って仕事をしているお母さんはカッコいい、楽しそう」と思ってもらいたい。そのためにも、より多くのチャレンジもしながら楽しくキャリアを歩んでいきたいです。

 
                    
                     
                    
                     
                    
                     
                    
                     
                    
                     
                    
                     
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                
                                 
                                    
                                     
                                    
                                     
                                    
                                     
                                    
                                     
                                    
                                     
                                    
                                     
                                
                                 
                                
                                 
              
             
                    