電通デジタルは、デジタルネイティブ世代に特化した事業開発・マーケティングの専門チーム「YNGpot.」が実施した「デジタルネイティブ世代の消費・価値観調査 '21」の主な調査結果を公開した。同調査はコロナ禍生活によって生じた新たなデジタルネイティブ世代の消費行動・価値観を捉えることを目的としたもの。
なお、YNGpot.では、15~25歳をZ世代、26~35歳をミレニアル世代と区分し、調査している。
コロナ禍でも「理想の自分のために挑戦し続ける」意欲は上昇
デジタルネイティブ世代は、「理想の自分のために、積極的にチャレンジしたい」(Z世代:56.0%・ミレニアル世代48.3%)、「より多様な人と出会い、刺激をもらいながら生きていきたい」(Z世代:56.5%・ミレニアル世代:47.3%)と回答。また、コロナ禍以前と比べて両者の傾向が強くなったと約3割(現状維持も含めると約9割)が回答し、活動の制限など多くの苦難があった中でも、SNS上などで多様な人と出会いながら、理想の自分を描き、その未来に向けて挑戦し続ける世代であることが伺える。
消費にも自己表現を意識
商品・サービスの消費価値観について聴取したところ、「好きな商品やサービスを通して、誰かと繋がることがある」(Z世代:45.7%・ミレニアル世代:39.5%)、「自分がどのような商品・サービスを利用しているかは、自分らしさを表現する上で重要だと思う」(Z世代:55.0%・ミレニアル世代:51.5%)と回答。
デジタルネイティブ世代にとって商品・サービスとは、単なる機能としての役割だけでなく、理想の自分に近づくための「自己表現・コミュニティ選び」といった役割も持つと考えられる。
自己表現消費の3フェーズ
YNGpot.では、消費行動にも自分らしさを求めるデジタルネイティブ世代の行動を「自己表現消費」と名付け、その消費行動を「①日常フェーズ→②商品検討フェーズ→③購入決定フェーズ」の3つのフェーズに分け、それぞれの特徴を明らかにした。
購入検討の前段階である「日常フェーズ」は、日頃の暇つぶしの中でSNSを利用し、様々な情報に出会い、その中で気になった情報をお気に入りボタンや保存ボタン、スクリーンショットなどを用いてストックする傾向がある。
「商品検討フェーズ」には、自身で日常的に保存・ストックしている情報や、ネット/SNS上でまとめられている情報など、事前に絞られた情報を参考に、商品購入の検討を行っていることがわかった。そのため、自社の商品・サービスが選ばれるためには、デジタルネイティブ世代の情報収集行動を意識した体験設計・情報発信が重要だと考えられる。
「購入決定フェーズ」では、下図の5つのポイントから多角的な判断をしていることがわかった。
「自己表現消費」を行うデジタルネイティブ世代は「壮大なビジョン」や「社会に貢献」しているブランド・商品を選択することで、自身もそのビジョン・社会貢献に参画している一部であることを表現していると考えられる。
ブランドの視点では、これまで企業が主体となってブランド価値を築いてきたが、SNSで情報発信・情報収集をすることが当たり前なデジタルネイティブ世代におけるブランド価値を築く要素は、インターネット・SNS上での評判や、その商品・サービスを通じて出会える人にまで拡張してきていると言える。
デジタルネイティブ世代に向けたマーケティング活動では、購入フェーズを意識した情報発信や、ブランドについての発話者を増やすこと。さらには、ブランドを起点とした生活者同士のつながりやコミュニティを注視し、日常的な接点を設けることにより、検討の前段階から選択肢に入っておくことが非常に重要であると同調査では結論づけている。
【調査概要】
時期:2021年10月4日~10月11日
対象者:15~59才男女/一都三県
算出サンプル数:1200ss
比較サンプル数:Z世代(15~24歳):600ss/ミレニアル世代(25~34歳):400ss/大人世代(35~59歳):200ss
手法:インターネット調査
調査機関:電通デジタル/電通マクロミルインサイト
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