SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

人を育てる。組織を育てる。

P&G、Googleを経てアドビへ入社 以来、足かけ2年で取り組んできた「社内の意識改革」

 マーケティング業界でも深刻な問題となっている人材不足とどう向き合い、どこに解決の糸口を見つけるか? また、ビジネスをリードできる強いマーケティング組織をいかに作っていくか? 各社の取り組みを探る本連載、第5回目はアドビマーケティング本部常務執行役員/シニアディレクターの里村明洋氏を取材した。新卒で入社したP&Gで営業からマーケティングを経験し、その後転職したGoogleでは複数の事業におけるマーケティングを統括。アドビ入社後は、「Adobe Creative Cloud」のマーケティングを率いている里村氏のマネジメントスタイルとは?

※本記事は、2022年1月25日刊行の定期誌『MarkeZine』73号に掲載したものです。

アドビで取り組んできた、社員の意識改革

アドビ株式会社マーケティング本部
常務執行役員/シニアディレクター 里村明洋氏

 慶應義塾大学総合政策学部卒業。新卒でP&Gに入社。営業からマーケティングまでP&Gとしては異色のキャリアを築く。Googleに転職後は、複数の事業でマーケティングを統括。2019年3月にアドビに入社、2020年12月より現職。

――里村さんがマーケティングを率いる「Adobe Creative Cloud」では、従来より主なターゲットであり顧客であったプロクリエイターから、新たにターゲット層を広げるマーケティング戦略を展開されています。この戦略を実行するために、里村さんはご自身のミッションとして「社内の意識改革」を挙げられていました。具体的にどのような取り組みを?

 大きく分けると2つあります。1つは、ユーザーの捉え方、ひいてはマーケティング自体の定義を変えるというものです。

 デジタルマーケティングの業界では、ファネルという言葉があるように、ユーザーを“上から下に”あるいは“縦に”見る考え方が定着していますが、これはユーザーを端的に見てしまうことにつながりかねません。たとえば、インプレッション→トラフィック→滞在時間というふうに数字だけを追うと、そこに介在するユーザーの思いやインサイトに考えが及ばなくなってしまう。どんなユーザーが、どんな行動を起こした結果、どういった思いになったのか、その結果何が起こったのか? とユーザーを主語にして考えるべきところが、「このメディアが〜」「このメッセージが〜」となってしまうのです。

 そこで、より複合的にユーザーを捉え、縦ではなく横に広がっていくようなマーケティングの考え方を意識づけるための取り組みを行っています。簡単に言うと、「ユーザーを起点にしよう」ということですね。

――考え方やマインドは、言ってすぐに変わるものではありません。やはり、日々口を酸っぱくして言い続けるしかないのでしょうか?

 実は1つ心がけていることがあって、自分のチームメンバーに意識してほしいことは、「斜め上のメッセージ」にして伝えるようにしています。伝えたいことをコマーシャライズして、みんなが頭の中でイメージしやすいメッセージに落とし込むのです。論理的に正しいことを普通に伝えても、「はい、そうですよね」としかなりません。映像を添えてみたり、比喩を使ってみたり、何らかの形でメンバーの頭をシェイクするようなコミュニケーションを心掛けるのは、リーダーの役割であると思っています。

 意識改革に向けてもう1つ行ってきたのは、新しい市場・新しいユーザーへ意識を向けるための取り組みです。具体的には、月に1回程度、社外の方に来ていただいて、新たな視点・考え方に触れる場を作っています。このトレーニングは主にマーケティングとテクノロジーを軸にしており、ファミリーマートCMOの足立光さんやStrategy Partnersの西口一希さんなど、私がP&Gにいた時の諸先輩方をはじめ、業界で活躍されている様々な方にご協力いただいています。各人のスケジュールの都合もありますが、基本的には80〜90人ほどいるマーケティング部門全員を対象としていて、テーマによっては営業部門に声をかけることもあります。

 やはり、意識改革については、私からメンバーに言うだけでは限界があります。外部から信頼できる方に来てもらうと、「あの時の資料を見返したのですが」といった発言が出てくるのです。これはメンバーの意識が変わっている証拠ですし、新しいアイデアが生まれたり、より発展した質問やコミュニケーションが返ってきたりすることも多々あり、効果を実感しています。あとは、新しい施策や活動にチャレンジした人に対して、賞を与える取り組みも行っています。

 新しいユーザーや市場に目を向けるというのは、基本的にあらゆる企業・ブランドにおいて重要なことです。たとえば、これまでずっとプロクリエイターをターゲットにしていた「Adobe Creative Cloud」が新しいターゲットを、というストーリーがあることは間違いありません。ですが、新しいユーザー・顧客を増やすということをしない限り、ブランドは強くなっていきませんし、サステナブルなビジネスは実現しません。逆にそうでなかったら、どんどんニッチなブランドになって、最終的には消滅してしまいます。

この記事はプレミアム記事(有料)です。ご利用にはMarkeZineプレミアムのご契約が必要です。

有料記事が読み放題!MarkeZineプレミアム

プレミアムサービス詳細はこちら

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラスをご契約の方は
・こちらから電子版(誌面)を閲覧できます。
・チームメンバーをユーザーとして登録することができます。
 ユーザー登録は管理者アカウントで手続きしてください。
 手続き方法の詳細はこちら

次のページ
マネジメントスタイルは、企業のビジネスモデル・カルチャーに応じて変える必要がある

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
人を育てる。組織を育てる。連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2022/01/27 09:30 https://markezine.jp/article/detail/38190

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング