パーソナライズの強みとなるLINEのデータクリーンルーム
MZ:LINEが形成する経済圏・生活圏の中で、企業がオンライン/オフラインをまたいだ販促をするために活用できるサービスについて、それぞれ概要をお教えください。
田中:主なサービスを3つご紹介します。
田中:まずは「LINE広告」です。トークリスト、LINE VOOM、LINEマンガ、LINEショッピングなど、併せて12のサービス面上において、広告配信が可能です。
2つ目が、「LINE公式アカウント」です。ユーザー様との1to1コミュニケーションに特化しており、企業が第二のオウンドメディアとして活用できるメニューです。拡張性に優れており、外部ツールと連携して、各種データに基づいたメッセージ配信ができる機能も設けております。
3つ目が「LINEで応募」という販促用のメニューです。キャンペーン参加の促進や店頭POP削減、購買行動の連携など、店頭販促の課題解決が可能です。
今ご紹介したような、複数のソリューションと連携するデータ基盤が、LINEの持つデータクリーンルームとなります。
購買ログやアクセスログなどの広告主様が保有するデータと、外部のデータパートナー様が提供するサードパーティデータ、LINEグループが持つデータを、LINEの環境内で突合させ、活用できるデータ基盤です。
田中:多様化するマーケットのニーズにお応えするために、電通グループ様をはじめとする外部パートナー様と連携し、データの利活用を通してユーザー一人ひとりに合った価値の提供を目指すスキームとなっております。
購買データも加味した広告配信でキャンペーン効果を最大化
MZ:具体的な取り組み事例について教えてください。
山本:2021年3月から6月まで、アサヒ飲料様の「カルピスウォーター」販促キャンペーンを実施しました。商品のQRコードを読み込むと、LINEポイントが10ポイントもらえるキャンペーンです。
山本:キャンペーンを告知する上で、どのような方に告知をすればよりキャンペーンに参加いただけるかを考えることは重要です。そのうえで、過去に同様のキャンペーンに参加された方々がどのような特徴を持つのかは大きなヒントになります。LINEのデータクリーンルームによって、過去の同ブランドのキャンペーンに参加された方たちがどういった年代、性別、興味関心であるかなどを統計的に把握した上で広告配信を行いました。
また、今回の実施の背景として、普段あまりカルピスを飲まない方々の、飲用頻度を高めていく狙いがありました。
LINEのデータクリーンルームのユニークな点として、ポイントカードデータを参照することで、より購買データに根差した分析が可能である点が挙げられます。「年間で〇~〇回までカルピスを買っている人」といった定義付けにより、キャンペーン効果の最大化を目指しました。
MZ:実際にどのような成果が得られたのでしょうか。
山本:店頭販促の場合、オンラインの施策とオフラインの成果が分断されてしまいがちですが、データクリーンルームを活用し、LINEの広告接触データと、キャンペーンのポイント取得者IDを突合することによって、広告接触が如何にキャンペーンへつながったかを把握できます。
今回は、過去のキャンペーン参加者の属性に根差した広告配信と、購買データを元にした広告配信の2パターンを実施しました。結果として、購買データを使った広告配信の方が、おおよそ2倍程度、キャンペーンへの参加につながった、というデータが得られました。
山本:さらに、キャンペーン参加データとポイントカードデータを活用することで、キャンペーン参加者が、参加後にまた商品を購入したかどうかの事後購買分析も可能です。
今回のキャンペーンで検証したところ、過去のキャンペーンも含め、参加率が高い人ほど継続して商品を購入する傾向が見られました。この結果を踏まえて、次回は「たくさん飲むと〇〇がもらえます」といったキャンペーンを企画するなど、販促設計に活かせるような視座が得られた点も、LINEのデータ基盤ならではの成果だと思います。このようなデータを基に、お客様にとって有益となる販促や広告の在り方を描くことがデータの活用の一つだと考えます。