社名の露出は控えめでOK、楽しみの輪の広がりを重視
水野:企業やエリアのブランディングにラグビーを掛け合わせるのは面白いアイデアですね。

高田:三菱地所のスローガンである「人を、想う力。街を、想う力。」と、ラグビーが大切にする「多様性」「チームワーク」「献身と協力」「尊敬と友情」といった価値観には相通じるものがあります。また私たちが進める街づくりの取り組みと、ラグビーの「One Team」というキーワードも非常にマッチしているので、そうした点においてもラグビーコミュニティの活性化と三菱地所のコーポレートブランディングは親和性が高いと考えました。
水野:コミュニティ内では三菱地所という社名の露出は控えめですね。
高田:そこは控えめで良いと思っています。丸の内15丁目PROJECT.というプラットフォームを認識し、楽しんでいただくことで「新しくて面白い体験できる場所」の輪が広がっていくことを大切にしています。
水野:コロナ禍でスタジアム観戦が制限される中、場外でスポーツファンの熱量を上げるのは大変だったのではないでしょうか。
高田:ラグビーファンと一口に言っても人によって熱量には濃淡があるので、ライト層のファンも楽しめるような企画づくりを心掛けています。たとえば丸の内15丁目ラガービールのプロジェクトでは、フード企画を共創のネタにしてリアルカフェを運営しています。またDAEN Univ.では、がんを治せる病気にするプロジェクト「delete C」と協働し、社会環境学の講義を開きました。社会課題に対して“にわか”でも構わないので、カジュアルなソーシャルアクションについて一緒に考えるための講座にしたかったんです。これもまちに熱量を生む種まきになっていると思います。
住民の肩書きやバッジ制度が活性化の秘訣
高田:これまでは事務局が発案した企画が多かったのですが、丸の内15丁目は住民からアイデアを募集し実現していく場所です。ライトなファンからコアファンまで、様々な方からの投稿を期待しています。またリアルな場とサイトを連動させながら、ラグビーファンとの共創実績も増やしていきたいです。熱量の濃淡に関わらず「ラグビーファンが何を欲しているか」は、直接ファンに聞くに限りますからね。
水野:ほかにもコミュニティ活性化の施策はありますか?
高野:丸の内15丁目では、住民のラグビーへの熱量が一目でわかるように肩書きを用意しています。「にわか」「コア」のほかに「猛者」「経験者」や、現役のラグビー選手用には「選手」という肩書きもあるんです。
水野:お互いの立場や感心度がわかると、相互にコメントを投稿する際の心理的なハードルが下がって良いですね。住民同士で衝突することも少なくなるのではないかと思います。
高田:今のところ目立ったトラブルはなく、良い雰囲気で運営できています。丸の内15丁目には100人以上のアンバサダーがいるのですが、彼らの積極的なコメント投稿や盛り上げによるところも大きいです。
活性化の施策として、投稿に「いいね!」をもらった住民や、誰かからフォローされた住民に対してバッジを付与する制度もあります。バッジはラグビーのユニフォームになっていて、プロフィール画面のフィールド上で背番号と対応するポジションに表示される仕組みです。

水野:ラグビーファンにとってはモチベーションの上がる称号ですね。モチベーションを維持することで継続的な投稿を促し、離脱も防げるのではないかと思います。